歪んだ空間から現れたのは赤髪の少年だった。
「イシュタルよ、私と共にバーハラへ戻れ」
「え?ユリウス様・・・どうして・・・」
イシュタルはその少年を見てうろたえた。
「私にはお前が必要だ、力になってくれ」
ユリウスと呼ばれた少年はそう言うと、シュウ達の方を向いて言った。
「お前たちが解放軍か。せいぜい抵抗を続けるがいい」
ユリウスはそう言い、イシュタルとともにワープで消えていった。
「おい、シュウ・・・あれは・・・」
アーサーがシュウに聞いたが、シュウ自身も唖然としていた。
「あいつは一体誰なんだ・・・。あの氷のような目は・・・」
シュウがそう呟いた時、トリスタン達がイシュタル達の部隊を破り、追いついた。
「シュウ、大丈夫か?」
トリスタンが馬から下り、シュウに聞いた。
「ああ、アミッドがかなりの傷を負っている。すぐに回復させないと行けない」
「ああ、マナが近くにいたはずだ」
トリスタンがそう言い、アーサーに場所を教え、アミッドはアーサーに担がれてマナの所に向かった。
「そうだ、パティとディジーの兄がいたのは知っているな?」
「ああ、ファバルとアサエロだったな」
「その2人が先ほどの戦いで2人に強引に連れてきた。何でもブルームに雇われていたみたいだ」
「分かった。それで、被害は?」
「相当酷いな、さすがイシュタルの精鋭と言ったところだ」
「よし、少々つらいが歩兵部隊を率いて俺が行く、トリスタンは騎馬部隊をとどまらせてくれ。しばらく休んでから来て欲しい」
シュウはすぐにトリスタンに指示を出した。
「ああ、分かった」
トリスタンはそう言い、騎馬部隊の所へ向かった。シュウはそれを見届けた後、歩兵部隊の所へ行き、コノート城へと進軍していった。
「いいか!今回の戦いはすぐに乱戦に持ち込め!敵味方入り乱れれば遠隔魔法は使われない!」
シュウが部隊に指示を出した。
「シュウ、ブルームは俺に任せてくれ」
アーサーがシュウに寄ってきて言った。
「ああ、分かった。だけどここを突破しないといけないな。重騎士が多いから強行突破も難しい」
「シュウ、俺に任せてくれ」
そう言ってシュウの後ろから声をかけたのはロドルバンだった。
「大丈夫なのか?」
「ああ、この斬鉄の剣ならあの鎧を叩き斬れる。その隙に突破してくれ」
「任せた。頼むぜ」
シュウはそう言い、アーサーと共に城へと向かっていった。
それに気づいた騎士の1人が2人に攻撃しようとした所に、ロドルバンが上から斬りつけた。
「2人の邪魔はさせないぜ」
ロドルバンはそう言い、斬りつけた騎士に追撃の一振りを当てた。そしてその隙にシュウとアーサーは城の中へ入っていった。
「シュウ、どうした?」
考え事をしていたシュウにアーサーが聞いた。
「ああ、おそらくあの3姉妹が出てくるはずだ。ここまでに戦っていないからな」
シュウがそう言った時、前方に3姉妹がいた。
「なるほど、守備についていたか。アーサー、ここは俺に任せろ。ブルームを頼む」
シュウはアーサーにそう言い、戦闘態勢を取った。