「被害状況は・・・深刻と言うほどではないな。補給物資が少々足りない。それで・・・」
シュウが戦後処理をしているとトリスタンが入ってきた。
「いろいろ大変みたいだな」
「まあな、ちょうどいい、手伝ってくれ」
「分かった。どれに手をつければいいんだ」
トリスタンがそう言うとシュウは数十枚と重なった紙を渡した。
「これだけ頼む、今日中にな」
「休み無しだな、こりゃ・・・」
「俺の方が大変だけどな。頼むぞ」
「分かった」
トリスタンはそう言って紙の束を持って部屋を出た。
その頃、町ではラドネイが走っていた。
「あいつから振り切る手は・・・」
ラドネイはそう言いながら走っている。理由は後ろにいるヨハンだった。
「ラドネイ、君の声は小鳥のさえずりだ、もっと私に聞かせて欲しい」
ヨハンはそう言いながらラドネイを追いかけている。
「あ、マナ。後よろしく!」
ラドネイはマナを見つけ、そう言い、どこかに去っていった。
「え・・・ちょっと・・・」
マナはラドネイに反論しようとしたが、既にラドネイは見えなくなっていた。
「しかたないなぁ・・・」
マナはそう言いながらヨハンの相手をすることにした。
他に人達はどうしているかと言うと・・・
「ファイアー系がたくさん売ってるな。おっちゃん、ウィンド系やサンダー系は無いのか?」
アミッドはアーサーと共に町を回って魔道書を見ていた。今見てるのは旅の行商人の店である。
「サンダー系なら先日メルゲンで手に入れた奴があるぜ、これだ」
そう言って商人はアミッドに1冊の魔道書を渡した。
「これは・・・アーサー、見てみろ!」
いろいろ魔道書を物色していたアーサーはアミッドに言われてその魔道書を覗き込んだ。
「これは、トローンか。アミッド、お前にも使えるんじゃないか?」
「ああ、使える。おっちゃん、いくらだ?」
「そうだな、1万2千って所だな」
「高いけど仕方ないな、はい」
アミッドは値段に驚きながらもお金を払った。
「毎度あり、そっちの兄ちゃんは何か買わないのか?」
「俺はいいよ、アミッド。闘技場にでも行ってみないか?」
「そうだな、それじゃあな、おっちゃん」
アーサーとアミッドはそう言って闘技場に向かっていった。
その頃、イード砂漠を1人の青年が歩いていた。
「あそこがイード城か、バルムンクはあそこにあるんだな・・・」
青年が呟いた時突然ダークマージが数名ワープしてきた。
「邪魔が入ったか・・・」
青年はそう言って剣を抜いた。
「ヨツムンガンド!」
ダークマージの1人が青年に魔法を放つが、青年は素早く回避し、お返しとばかりに魔法を使ったダークマージを斬りつけ、倒した。
「ここで時間をかけてられないな、一気に倒す!」
青年がダークマージ達に突撃し、何度も斬りつけた。
「イザーク家奥義、流星剣だ・・・」
青年は剣を納め、既に亡骸となっているダークマージ達に言った。
「さて、余計な時間を使った。急ごう」
青年はそう呟いて城に向かっていった。
そして、日も落ちかけた頃、雑務をしていたシュウが一息ついた所に、誰かがノックをした。
「誰だ?開いてるぞ」
部屋に入ってきたのはユリアだった。
「ユリアか、どうした?」
「シュウ様・・・紅茶を入れました。一緒に飲みませんか?」
「ああ、ちょうど一息つこうと思ってた所だ」
シュウはそう言って机の上を片付けた。
「そうだ。ユリア、1つ言いたいことがあるんだけど・・・」
「何ですか、シュウ様」
「いや、そのシュウ様ってのをちょっとやめて欲しいんだ。別に俺は様とか呼ばれるほど偉くないからな」
「それじゃあ・・・シュウさんで・・・いいですか?」
「ああ、それなら構わない。ところで、この紅茶おいしいな」
シュウがユリアから渡された紅茶を一口飲んで言った。
「あの・・・それ、私が入れた奴です」
「ユリアが?そうか。ありがとう」
「いえ・・・」
「今日中に雑務を終わらせるから明日は町にでも行かないか?」
「はい・・・」
2人はしばし話していた。