95話

「強く・・・なったな・・・」

クラトスが片膝をつきながら言った。

「あんたのお陰だ・・・」

ロイドが折れた剣をしまいながら言った。決め手の攻撃で折れたのだ。

「ようやく死に場所を得たと思ったのだが・・・やはりお前だ、とことんまで甘いのだな」

クラトスがそう言いながら石版の前に立った。

「待て!まさか・・・封印を解放する気か?」

「それが望みだろう?」

クラトスがそう言って体内のマナを放出した。そしてクラトスは崩れ落ちた。

「クラトス!」

ロイドが駆け寄ろうとした時ユアンが現れクラトスを受け止めた。そしてユアンの手が輝き、暖かな光がクラトスの体に流れ込んだ。

「私のマナを分け与えた。大丈夫だ、クラトスは生きている」

ユアンがそう言った。

「また・・・死にそこなったか」

「馬鹿野郎!死ぬなんていつでも出来る!でも死んじまったらそれで終わりだ!死んだら何が出来る?何も出来ないだろ!」

ロイドが怒鳴った。

「そうだな・・・そんな当たり前のことを息子に教えられるとはな」

クラトスがそう言って気絶した。

「クラトスは大丈夫だ、それよりもオリジンと契約を」

ユアンがそう言った。

「頼むぜ、しいな」

「ああ」

しいなが石版の前に立つとオリジンが現れた。

「資格なき者よ、我は全てに失望している。お前も我を失望させるために現れたのか?」

オリジンがロイドを見据え言った。

「オリジン、お前はミトスとの契約に縛られていないのか?」

ロイドがオリジンに聞いた。

「我の解放と共にミトスとの契約は破棄された。もはや、何人たりとも我を使役することは出来ぬ」

「俺達の力を試してくれ!俺たちにはエターナルソードが必要なんだ!世界を再びマナの満ちる世界にしたいんだ!
 このままじゃ、世界は永遠に搾取し合って、みんな絶望しちまう!」

「それは自らを違う者を認められない、心を持つ生物の弱さから発生したことだろう」

「確かにそうかもしれない。でも、間違いは気づけば正せるはずだ」

「取り返しのつかないこともあろう」

「でも!俺はあきらめない、誰だって、生まれた時から生きる権利がある!
 人も、エルフも、ハーフエルフも、ドワーフも、精霊も・・・みんな、自分であるってだけで生きてる価値があるはずだ!」

ロイドが強くそう言った。オリジンはしばらく考え、1つの結論を出した。


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