94話
「鎌、どうやら吹っ切れたみたいだな」
「ああ、ようやくな」
ヘイムダールの宿屋で俺と鎌が話していた。
「そうだ、シリカの事だけど・・・」
俺が話題を切り出した。
「シリカが何だ?」
「ああ、シリカはな、どうやら奈菜の友人らしいんだ・・・」
その後も救いの塔でシリカと会ったことを話した。
「なるほど・・・だとすると後シリカが出てくる可能性があるのは1つだな・・・」
「ヴェントヘイム、か・・・」
俺が呟いた。と、その時奈菜が入ってきた。
「奈菜か、ちょうどよかった。今シリカについて話してた所だ」
「あの時説得できたのかどうか、ですか?」
「それもあるな・・・」
俺達の話に奈菜も加わり、さらに話していた。
「そういえば・・・鎌さんの話し方、変わりましたね?」
奈菜がそう言った。
「ああ、吹っ切れたからな」
「吹っ切れた?どういうことですか」
「鎌は生まれのせいで昔からいじめられてたんだよ。えっと、同和地区問題だったかな?
俺がそれを見た時にみんなに説得して少しずつそういうことが無くなってきてるけどな。そのせいで少し自分を偽ってたんだ」
「それ・・・楓ちゃんと同じ・・・でも、楓ちゃんは説得してくれる人がいなくて不登校に・・・」
奈菜が急に呟いた。なるほどな、鎌と境遇が同じだったのか。
「この世界に迷い込んだのが少し分かったな・・・」
鎌が言った。
「本当か?」
「ああ、おそらくだけどな。その子の弱い心がこの世界を呼び込んだんじゃないのか?」
「非科学的だな、まあ俺達も迷い込んだことがあるしな。非科学でもいいな」
俺がそう言った。
「でも・・・この世界から元の世界に戻るには、どうすればいいのかな?」
「心配しなくてももうすぐ戻れる。後3日ほどだ」
俺がそう言った。
「さて、夜も更けたな。そろそろ寝よう」
俺がそう言ってベットに寝転がった。
「いよいよだな・・・俺達の旅も終わりだ・・・」
俺はそう呟きながら眠りに落ちた。
「来たか・・・」
クラトスが俺達みんなを見回して言った。
「みんな。ここは俺1人に任せてくれ」
ロイドがみんなに言った。
「1人で大丈夫なのか」
クラトスが目を細めながら言った。
「ロイドは負けません。クラトスさんが、クルシスが犠牲にしてきた物のすべてをロイドは背負ってるんだもの」
コレットが断言した。
「本気を出させてもらうぞ」
クラトスが剣を抜きながら言った。
「ああ、俺も本気であんたと戦う」
ロイドも双剣を抜いて言った。