88話
「翔さん・・・」
「どうした?」
突然奈菜が聞いてきた。
「皆さんは大丈夫なんでしょうか?」
「なるほど、先を知ってるからな。大丈夫だ。だから俺達はコレット救出のためにがんばるぞ」
「はい」
幸いこの会話は誰にも聞こえなかった。運がよかったな・・・。そうこうしてるうちに次の所についた。
「これは・・・リフィルさん、手伝ってくれ。天使言語は俺もある程度分かるけどリフィルさんのほうがいい。俺も手伝おう」
「ええ、頼むわ」
俺とリフィルで扉の解除をしていった。しかし
「うわ!手の込んだ仕掛けだな・・・」
「大丈夫か!」
機械のある周辺の床が抜け落ちた。そしてロイドの声が聞こえてくる。
「翔、行きなさい。ここは私に任せて」
「ああ」
リフィルの囁きに答え。俺は仕掛け解除をやめてロイド達と共に扉の解除を待った。
そして扉が開くと共に機械のある周辺の床は崩れ落ちていった。そして最後の扉が開いた。
「先生、やっぱり操作ミスじゃなかったんだな・・・」
「ロイド、行きなさい。この部屋はもうすぐ崩れ落ちるわ」
「嫌だ!先生を置いて行けるわけないじゃないか!たとえ世界を救っても先生が死んだら何にもならないだろ!」
「あなたの理想の息づく世界で、私の心は生き続けるわ。でも、あなたの理想が費えたらそれは私たちの希望が死ぬ時。
希望を失って生きると言うことは死ぬことよりつらいことでなくて?」
リフィルは首を振ってそう答えた。
「そんなこと・・・俺には分からないよ」
ロイドが首を振って答える。
「分からないと言うなら、人が生きるということがどういうことなのか、これからの人生で学び取りなさい。
これが先生としての、最後の授業です」
そしてリフィルは俺達の方を向いて。
「翔、奈菜、ジーニアス、後は頼んだわよ」
「ああ、分かった・・・」
「はい・・・」
俺と奈菜はそう言い、ジーニアスは黙って頷いた。
「ごめん!先生!」
ロイドはそう言って転送装置に乗った。俺が急いで作動させる。