87話

「青ざめし永久氷結の使徒よ、威き神が振るう紫電の槌よ、気高き母なる大地のしもべよ、
 大いなる暗黒の淵よりいでし者よ、契約者の名において命ず!我の前に連なり、陰の力と化せ!」

テセアラの4精霊が現れ、マナの力がしいなに流れ込む。

「何をするんだ?」

ロイドがしいなに聞く。

「魔道砲の真似事サ、威力は落ちるけどこいつ相手には十分だよ。合図をしたら下を一気に走り抜けるんだよ」

「ああ、分かった」

俺が答える。

「それじゃあ、行くよ!」

しいなはそう言ってマナの力を撃った。

「今だ!」

しいなの言葉を聞いて俺達は必死に走り出し、橋を抜けて転送装置の所についた。
そして大樹の名残もマナの力で橋の下に落ちていった。

「しいな!大丈夫か?」

ロイドがしいなに声をかける。

「ああ、何とかね。言っとくけどもう1回やれってのは無理だからね、マナが空っぽだからしばらく休ませて貰うよ」

しいながそう言った時下から蔓が伸びてきた。そしてしいなの足がそれに捕まる。

「しいな、待ってろ。今助けに行く!」

ロイドがそう言った時突然しいなが笑った。

「どうしたんだ?」

「ご、ごめん。初めてあんた達と会った時のことを思い出したんだよ。あたしってよっぽど落とし穴に縁があるんだね」

笑いながらしいなが答えた。

「馬鹿なこと言ってないでじっとしてろ、今そっちに行く」

ロイドがそう言って何とかして渡ろうとしたが

「余計なお世話だよ!あんたは早くコレットを助けに行きな!」

しいなが怒鳴った。

「馬鹿野郎、強がってる場合か!」

「強がってなんか無いサ、あの時だってそうだっただろ。あの後地の底から這い上がってあんた達と会った。
 だから今度も最後の大舞台には間に合って見せるよ」

「強がりじゃないんだな、絶対に間に合えよ」

俺がそう言って転送装置を作動させた。


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