72話
「翔!鎌!」
ロイドの声が聞こえた。やっとか・・・
「邪魔が入った・・・」
シリカはそう言ってどこかに去っていった。とりあえず退けたな。
「今のはシリカか?」
クラトスが聞いてきた。
「ああ、俺と鎌を狙ってきたみたいだからな、とりあえず収容されていた人はリーガルやゼロスに頼んだ。俺達も戻ろう」
俺がそう答えて外へ脱出した。
「みんな、大丈夫だった!」
外に出た途端コレットが俺達に言った。
「ああ、大丈夫だ。みんなも無事みたいだな」
ロイドが答えた。
「そうみたいだな、後はしいなに連絡・・・」
俺がそこまで言った時背後から殺気を感じた。フォシテスが瀕死になりながらもこっちに腕の筒をこっちに向けている。
「私も五聖刃と呼ばれた男・・・ただでは死なん!」
そう言って筒の砲を収容されていた人達に向けて撃った。しかしそれは俺とコレットが身を挺して庇った。
そしてコレットの服の裾から何かが見えた・・・。あの病気だな。
「ユグドラシル様・・・我ら、ハーフエルフの千年王国を・・・必ずや・・・」
そう言ってフォシテスは息絶えた。
「よし、しいなに連絡だ。ロイド、通信機を貸せ」
「え?あ、ああ・・・」
俺がすぐにロイドから通信機を受け取り、しいなに連絡した。そして魔道砲が大樹に放たれ、暴走が収まった・・・。
「収まった・・・みたいだな」
俺が呟いた。
「ああ、大いなる実りは聖地カーラーンの地中に再び収束した」
クラトスが俺の呟きに答えた。
「最も、我らに取っては残念な出来事だが・・・」
通信機からユアンの呟きが聞こえた。
「では、しいなをそちらに向かわせる」
「ああ、頼んだ」
俺がそう言って通信機の電源を切った。と、コレットの声が聞こえた。
「こんなの・・・気持ち悪いよね・・・こんなの・・・」
「気持ち悪くなんかないさ」
ロイドがそう言ってコレットに近づこうとすると
「来ないで!」
コレットがそう言い、その場に倒れた。どうやら気絶したみたいだな。
「一度イセリアに向かうしかないな」
「でも、俺やジーニアスは追放されてるんだぜ」
ロイドが言った。
「そうだな、その時はダイクの所で休ませて貰うしかないな」
俺がそう言って再び通信機を電源を入れ
「しいなをイセリア村に向かわせてくれ」
そう言った。すぐに
「分かった。イセリアでいいんだな」
という声がしたので再び電源を切った。
「行こうか、始まりの村、イセリアへ・・・」
俺がこっそりそう呟いた。幸い誰にも聞かれなかったが。