65話
「「アリシア・・・」」
リーガルとプレセアが同時に言った。
「リーガル様、消えてしまう前にお会いできてよかった・・・」
アリシアがか細い声で言う。もう時間が無いんだな・・・。
「アリシア、すまなかった。
私はお前を偲ぶ縁として、エクスフィアを墓石にはめ込んだのだが、死してなお、それはお前を苦しめているのだな」
「いえ、リーガル様は悪くない・・・」
「どういうことなのアリシア・・・この人がアリシアを殺したんでしょう・・・?」
事情を知らないプレセアが2人に聞いた。
「ええ・・・だけど、仕方なかったの」
「どういうこと・・・?」
それに答えたのは意外な人物だった。
「私が愚かだったのです」
答えたのはジョルジュだった。さらに話し続ける。
「アリシアが当家に奉公に上がってすぐ私はリーガル様のお世話する仕事を、申し付けました。
しかしそれが予定外のことを引き起こしてしましました」
「予定外?」
ロイドが聞いた。
「私がアリシアを愛してしまったのだ」
リーガルが答える。
「そしてアリシアも私の心に応えてくれた」
そしてそれにジョルジュが続ける。
「そしてリーガル様はアリシアを妻にすると仰られました。恋ならばよいのです。
しかし結婚となると話しは別、認めるわけにはいかなかったのです」
「どうしてですか?」
コレットが聞いた。それには俺が答えた。
「家柄、だろうな。貴族って言うのは家柄を大事にする。優秀な人間は優秀な人間同士で結びつくべきだって考えなんだよ。
まったくくだらないな・・・」
最後の一言は俺の意見だ、そういう家柄とか俺は嫌いだからな。
「その点ブライアン家は革新的だな、と思ったんだけどな・・・」
ゼロスが呟いた。
「そしてリーガル様が視察に出かけている間にかねてからアリシアを引き取りたいという人に引き渡してしまったのです」
「それがヴァーリですね」
鎌が言った。
「それで、リーガルはどうしたんだ?」
俺が聞いた。リーガルは少し黙った後、話した。
「無論、ヴァーリにアリシアを返すよう交渉した。奴が求めたのはトイズバレー鉱山そのものだった。
そこで私はすべての権利を集め、アリシアを返してもらおうとした。しかし・・・」
「その時にはもう、私は人間ではなくなっていたの」
アリシアがそう言った。
「なるほど、エクスフィアの暴走だな」
俺がそう言った。
「あれで、良かったのか・・・」
俺がリーガルに聞いた。あの後、アリシアのエクスフィアはロイドが壊した。
「ああ、あれ以上アリシアを苦しませる必要はない」
「そうだな、これで心残りは消えたな、後は精霊と契約して世界を元に戻すのみだな」