64話
「ヴァーリ!」
屋上に着くなりリーガルが叫んだ。
「会長自らお出ましとはちょうどいい、教えてもらおうか」
「会長だって!」
ロイドが驚いて言うがリーガルは答えなかった。
「トイズバレー鉱山の奥へ続く扉は私の声紋と角膜パターンで開く。無理にこじ開ければエクスフィア鉱山部分は崩落するぞ」
「それなら俺達に協力して扉を開けろ、でないとこっちは商売上がったりだからな」
「断る」
リーガルは強くそう言った。ゼロスがそれに続く。
「生憎と買い手のロディルは死んだぜ、お前のエクスフィアを買う者はもういない」
しかしヴァーリは笑った。
「は、ロディルが死んでも俺には教皇様という強力な後ろ盾がある。エクスフィアの買い手ならいくらでもいるんだよ」
「やっぱり教皇がらみかよ・・・」
ゼロスがこっそりそう呟いた。
「それなら今お前をここで殺せばいいだけだ!」
俺がそう言って近づき、アッパーを入れたが空を切った。
「ちっ、くちなわか・・・」
俺がそう呟いた。くちなわがヴァーリを別の場所に移動させたからだ。
「いずれ国王は死に、教皇様の栄華となる!その時にはレザレノ・カンパニーなど握りつぶしてやる!
後になって吠え面かいても遅いぞ、リーガル!」
そう言ってヴァーリとくちなわは消え去った。
「大事はないか?ジョルジュ」
リーガルがジョルジュに駆け寄ってそう言った。
「はい、リーガル様」
「どういうことなんだ、リーガル?」
何も分からないロイドがリーガルに聞いた。リーガルはみなを見回してから言った。
「私はリーガル・ブライアン。陛下より公爵の位を戴いた貴族であり、レザレノ・カンパニーの会長でもある。
神子達は気づいていたようだが」
「前に王女様の誕生パーティで見かけたのを思い出してな。まさかとは思ったが・・・やっぱそうだったか」
ゼロスが冷静に言った。
「それじゃあ・・・アリシアを殺したブライアンというのは・・・」
「私だ」
リフィルの言葉をリーガル自身がつなげる。
「あなたが・・・アリシアを」
プレセアがリーガルを見つめ、言う。と、その時別の場所から声がした。
「姉さん、待って」