52話

「レアバードが見つかった!」

ミズホの里の頭領の館でロイドが叫ぶ。あの後クラトスが出て来てレアバードを発見したと言ってきたのでここに来ている。

「ああ、海を越えた先にあるレネゲートの基地に収容されている。だが、その前に」

副頭領のタイガはしいなを見て。

「しいな。お前に試練を与えねばならん。雷の神殿へ行き、今度こそ、ヴォルトとの契約を済ませるのだ」

「あ、あたしには・・・」

「しいなよ。辛いであろうが、越えねばならぬ壁ぞ」

「・・・あたし、やっぱり出来ないよ」

そう言ってしいなは館を飛び出していった。

「仕方ないな、俺が呼び戻してくる」

「僕も行きます」

「あ、私も」

俺達現実組がしいなを呼び戻すことにした。

 

「ここにいたか」

里の隅にいたしいなを俺が呼んだ。

「聞いただろ、あたしがしたことを」

しいながしたこと、それは昔ヴォルトとの契約に失敗し、大勢の人が亡くなったということだ、
頭領もその事件のせいでいまだに目を覚まさないらしい。

「ええ、聞きましたよ。でもあなたはずっとそれを引きずるつもりですか?」

「あたしのことはほっといてくれよ」

鎌の言葉にもしいなは耳を貸さない。

「お願いします。しいなさんががんばってくれないとコレットさんが助けれないんです。だから・・・」

「・・・でも、もしヴォルトが暴走したら・・・」

「そのときは僕達が倒します」

「分かったよ、やってみる。今度こそ・・・」

俺達の説得が効いたかどうかは分からないがしいなは契約する決意を固めたらしい。

 

「ヴォルト・・・厄介だわ」

エレカーで神殿に向かう途中にリフィルが呟いた。

「言葉、ですか?」

鎌が聞いた。

「ええ、文献によるとヴォルトの使う言葉はかなり特殊で人間には判読不能らしいのよ。私が訳せる言葉ならいいのだけど・・・」

「その辺りは信じるしかありませんね」

鎌が結論を出した。確かにそこは信じるしかないな。と言っても俺や鎌は先が分かってるけど・・・。

「見えたぜ〜、雷の神殿だ」

甲板からゼロスの声が聞こえ、雷の神殿が見えた。


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