29話
「コレットの声が出なくなったなんて・・・」
今は野営中だ。洞窟を出た所で例の天使疾患が出たためである。
「みんな。1ついいかい?」
しいなが突然みんなに聞いた。しいなは話し続ける。
「みんなに話しておきたいんだ。あたしが神子の命を狙っていた理由を」
「違う世界、か?」
俺が冗談交じりに言った。知ってるからこそだけどな。
「あんた、知ってたのかい?」
「いや、カマかけただけだ」
実際ゲームやってた時もあの時の言葉で世界が2つあるって分かったしな。
「まあいいや、このシルヴァラント以外にももう1つ別の世界、テセアラ。そこからあたしは来たんだ」
「テセアラ!それじゃあしいなは月から来たの?」
「いや、あたしの国は確かに地上にあるよ。ただ、見えないだけでね。学者達に言わせると空間がずれているんだとサ」
「全然わからねぇ・・・」
「あたしだってよく分からないサ、でも2つの世界は確かに隣に存在して干渉しあってるんだ」
「干渉・・・」
「ああ、マナを搾取しあってる」
「なるほど・・・読めたぜ」
元々分かってたけどこの辺りで言えばストーリーを知っていると怪しまれないな・・・。
「つまり今シルヴァラントはテセアラにマナを吸い取られている状態で、
神子の世界再生の儀式はマナの流れを逆転させる。あってるか?」
「ああ、その通りサ」
「なるほど、それでどうしてしいなはこっちに来たんだ?」
「それは・・・」
「大方どこかからシルヴァラントの神子を殺せばテセアラがより繁栄するとでも言われたのでは?」
鎌が言った。しいなはそれを肯定した。
「コレット?ああ、手のひらに字を書いてくれるんだな。
えっと・・・レミエル様に・・・お願いしてみる。2つの世界を救う方法がないか。そうだな。頼むよコレット」
「でも・・・」
しいながコレットに向かって言った。
「もしもそれがうまくいかなかったらあたしはやっぱりアンタを殺すかもしれない」
「そのときは・・・私も・・戦うかもしれない・・・私も・・・この世界が好きだから」
手のひらに書かれた言葉をロイドが読む。
「分かったよ。どうあってもアンタは天使になるんだね」
「さて、この話はこの辺りにして今日はもう休もう。明日は強行軍でユニコーンに会いにいくぞ」
俺はそう言ってさっさと休んだ。というよりクラトスのせいで2連戦させられたから疲れたからだけど。