23話
「それじゃあ・・・コレットは封印を解放するごとにだんだん人間らしさってのがなくなっていくのかい?」
アスカードの宿でしいなが言った。あの後いろいろあったがとりあえずアスカードまで来ていた。ルインが崩壊したからでもあるが。
「そういうことになるな」
俺がいつもよりも重い声で言った。こういうことは鎌の役目だろ、肝心の鎌は今出かけているが。
「でもそれは辛いんじゃないか?」
「確かにそうだ、しかし神子には再生の宿命がある」
しいなの質問もクラトスがあっさりと切り捨てるがごとく言い放つ。
「大丈夫だよ」
コレットが起きて皆に言った。
「それに・・・私が天使になることを望んでいる人が大勢いるんだもの」
心が強いんだな・・・そうでもなければこんなことを言えるはずないからな。そこに鎌が帰ってきた。
「みんな、峠を越える手段が見つかりました」
鎌は帰ってくるなり開口一番そう言った。
「観光協会の人に理由を話した所護衛をしてくれるなら峠を渡らせてくれるそうです」
さすが鎌だな、口がうまい。
「よかった。ここでしばらく足止めになる所だったぜ」
「ええ、後は水の封印と・・・ウンディーネですね」
「出発はいつだい?」
しいなが鎌に聞いた。
「ええ、2時間後らしいです。準備を済ませていきましょう」
そう言って準備を始めたので俺も準備を済ませてくることにした。
「えっと、食材から見ると・・・パン類が足りないな」
俺は結局ジーニアスと共に台所係になっている。今は買出し中だ。
「これでいいな。っとすみません」
買い物を貰う時に誰かとぶつかった。小さな女の子みたいだったが一瞬羽が見えた。
「何だったんだ今のは・・・」
俺は気になったが時間が無いので急いで戻ることにした。
「ありがたい、また機会があったら君達の頼むよ」
「ええ、でも僕達も旅業ですからあえる確立は低いですけどね」
そう言って俺達と観光協会の人達と別れた。
「ちょうどパルマコスタに着いたし、どうする?」
「そうね、再生の書を見せてもらったほうがいいわね」
リフィルが言った。でも後封印は1ヶ所だけだしな・・・。すると広場の方で声がした。
「た、大変だ!ディザイアンが!」
皆それを聞くなり走り出していた、当然俺もだが。
「皆さん済みませんでした。まさか演習中にディザイアンが攻め込んでくるとは・・・」
「気にするな、それより再生の書だが・・・」
俺が聞くとなにやら苦虫を噛み潰したような顔をした。
「すみません、実はディザイアンと戦うための戦費を出すためにハコネシア峠の収集家に売ってしまったのです」
「仕方ないですね・・・分かりました」
鎌がそう言うと踵を返した。今から峠に向かうつもりか?
「今日は止まって明日またハコネシア峠に向かいましょう」
という訳で今日はパルマコスタで一泊することになった。