21話
「これじゃあ希望の町じゃなくて絶望の町ですね・・・」
鎌がぽつりと言った。確かにそうだな。
「いったい何があったんだ?」
「魔物に攻め込まれたか・・・あるいは・・・」
「あるいは?」
「ディザイアンに攻め込まれた。だろ」
クラトスが憶測をいい、ジーニアスが聞く。そしてそれを俺が引き継いで答えた。
「とにかく誰かに事情を聞かないと・・・」
俺達は無事な人を探しているとまたも意外な人物に出会った。しいなだ。
「つまり、ここの人達は脱走した人をかくまったせいでこうなったんだな」
「そういうことサ」
「それであなたは1人でディザイアンと戦い、そんな傷を負ったのですね」
ちなみにしいなの傷は既に俺が回復しておいた。リフィルはいい顔しなかったけどな。
「とにかく、あたしはここの村の人達を助けたいんだ。力を貸しとくれよ」
「いいぜ」
「いいですよ」
「うん、いいよ」
「俺もかまわない」
上からロイド、鎌、コレット、俺の順だ。クラトスは神子の意見を尊重すると言っている以上決まったな。
「エクスフィアがあんな風に出来ていたなんて・・・」
「これ・・・マーブルさんの命なんだ・・・」
一度人間牧場に入ったはいいが・・・そこで見たのはエクスフィアの製作風景だ。あの光景はさすがにショックを受けるな。
「ロイド、何するの!」
ロイドが突然エクスフィアを外して捨てようとした所をコレットが止める。
「エクスフィアを捨てる気ですか?」
鎌が冷たく言い放つ、少々怒りも入ってるみたいだな。
「あなたがエクスフィアを捨てたらそのエクスフィアにされた人の想いはどうなるんですか?」
「う・・・」
ロイドもいつもとは少し違う雰囲気の鎌にたじろいでる。
「もし僕がそのエクスフィアにされた人ならここで捨てられるよりも使っている人に同じ人を出して欲しくないと協力します。
あなたならどうなんですか?」
ロイドは少しうつむいて考えた後、話した。
「そうだな。俺も協力したいと思う。それにこのエクスフィアは母さんの形見でもある。だから母さんの無念もあるんだ」
「決まったな」
俺が一言だけ言い、それにロイドが続いた。
「ああ、俺はクヴァルを倒す。母さんの仇でもあるからな」