---おかしい・・・最近妙なことばかり起こる・・・
  「瑠璃垣咲華」が来たあの日から・・・妙なことばかりだ
  妙な男に会ったり・・・変な夢を見たり・・・刹那が失踪したり・・・おかしな女生徒に会ったり・・・な
  しかし、それと瑠璃垣咲華が関係しているかはわからない・・・
  ただの偶然かもしれないしな
  ・・・・・・だが、こんなにも妙な出来事が続けて起こるものだろうか・・・?


------Story05〜Tsubaki's Episode〜『予感』------


平和だった日々
退屈だった毎日・・・
しかし、その日々は「瑠璃垣咲華」が現れたあの日を境に終わりを告げた

『瑠璃垣咲華・・・か』

咲華が転向してきたあの日・・・椿は謎の男に襲われた
あの男が何者なのかはわからない
ハッキリしていることは・・・あの男がありすを狙っているということ
そして・・・椿の命を狙っているということだ
そのうえ「異形」と呼ばれるものまで従えていた
信じられなかったが・・・実際に見てしまった以上信じるしかない

同日、正体不明の真っ黒な生物の突進を喰らい、気絶したあの時・・・妙な夢を見た
懐かしい感じがする森の中・・・
そこには幼い少年の姿
その姿は幼い頃の自分にソックリだった
その少年は確かに「澤咲 椿」と名乗った
今の椿に記憶はないが、もしかしたらあの夢は過去の出来事だったのかもしれない・・・

そうなると気になる問題が浮かび上がる
もう一人の幼き少女のことだ
その少女の姿は幼き頃のありすによく似ていた
驚くべきことにその少女は「ありす」と名乗ったのだ
だが・・・「澤咲ありす」ではなく「ありす=C.クライン=姫梓原」と名乗っていた
聞き覚えのない名前だった
しかし、この少女は確かに妹のありすだ
それは間違いない・・・  椿の勘がそう告げていた

さらに・・・その後刹那が姿を消した
連絡もつかず・・・家にも帰っていない
あの日から約一週間が経過し、やっと連絡が取れるようになったが、
刹那は自分でもどこに居るのかわからないらしい
そして・・・連絡が取れたあの日も刹那が携帯の電源を切ってしまい、再び音信不通となってしまった

刹那が姿を消して一週間後・・・
普通とは少し変わった女生徒に遭遇した
その女生徒「猫塚由真」は授業中であるにもかかわらず中庭で昼寝をしていた
何よりも気になるのが・・・彼女についている「猫のような耳」と「猫のような尻尾」である
今の時代・・・そういうコスプレをしていてもおかしくはないのだが、あの耳と尻尾は本物に見えた
本物の猫の耳と尻尾を持つ人間なんて存在するものなのだろうか・・・?


---次は・・・何が起こるんだ・・・?

「このままでは終わらない」
椿はそう感じていた
それは単なる勘なのか・・・予感だったのか

『椿先輩・・・?』

突然女生徒から声をかけられた
その声に気づき女生徒を見る椿

『放課後の廊下のど真ん中でボ〜っとしてたら危ないですよ?』

柔らかな笑顔で注意されてしまった
椿は眉間にしわを寄せてその女性との顔を見つめる

『ど、どうかしましたか・・・?
 私の顔に何かついてますか・・・・・・?』

その顔・・・その髪型・・・そして「額の傷」・・・・・・
間違いない・・・ この女生徒は「瑠璃垣咲華」である

『あ、あの・・・あんまり見つめられると・・・恥ずかしいです』

顔を赤らめて椿から目をそらす咲華
それに気づいた椿も反射的に目をそらした

数分の沈黙・・・
二人は廊下のど真ん中でボ〜っと突っ立っていた
通りかかる生徒が不思議な目で二人を見ている

『あの・・・先輩?』

気まずくなった咲華が沈黙を切り開いた

『な、なんだ?』

『あの・・・その、私・・・先輩にお話があって・・・会いに来ました
 少し・・・お時間いただけますか?』

丁寧に尋ねる咲華
よく考えてみれば咲華と会話するのは初めてである
まぁ、相当昔に会話したことはあったかもしれないが

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

とある街中の喫茶店
椿はそこで話を聞くことにした
咲華が言うに「大切な話」だったので学校で話すわけにもいかなかったらしい
ちなみに喫茶店を場所に選んだのは、そんな話をするようなイメージがあったからである

---大切な話って・・・なんだ・・・?

紅茶の入ったコップにストローを入れ、かき回している椿
氷が入っているのでカラカラという涼しげな音が聞こえる

『・・・で、話ってなんなんだ?』

『あ、はい・・・』

ストローから口を離す咲華
なかなか話が切り出せずに・・・ジュースを飲んでいたようだ

『私のことは・・・既に知ってますよね?』

『あぁ、瑠璃垣咲華・・・だろう?
 ありすから聞いている』

『はい・・・  やはり8年前のことは覚えていませんよね・・・』

悲しそうな目をする咲華
ここに刹那がいたら「女の子を泣かせる奴は漢じゃねぇ!」とか言い出していただろう
しかし椿は黙ってその様子を見ていた

『大切な話というのは・・・ありすのことです』

『ありすだと?』

『はい  ・・・あ、先輩・・・
 先輩は・・・「魔法」ってご存知ですか?』

『魔法・・・? そんな非現実的なもの・・・』

椿は口の動きを止めた
「非現実的なもの」
ここ最近・・・そんなものに遭遇してばかりだ
「非現実的だから」という理由で「魔法」というものを否定できない椿だった

---今度は「魔法」ときたか・・・

『信じられないかもしれませんが・・・「魔法」は実在するんです』

咲華は目を閉じて、何か聞き取りにくい言葉を呟き、手のひらを椿の前に差し出した
すると咲華の手のひらからライターから出るような炎が現れた
タネも仕掛けもない「魔法」によるものだ
その炎は数秒経つと消えてしまった
咲華は手を引っ込め、再び口を開いた

『これが「魔法」です
 手品なんかではありません
 わかりましたか・・・?』

『あぁ・・・ ここ最近いろいろあったからな
 「魔法」が出てきてもおかしくはないだろう・・・』

目の前で見せられたものはたとえ「非現実的」だったとしても受け入れるしかないようだ
椿はそう考えた

『いろいろ・・・とは?』

『・・・話すと長くなるぞ』

『聞かせてくれますか?』

『物好きな奴だな』

そして椿は咲華が現れてから今日までの出来事を話した
咲華はあごに手を当て何か考えているようだ

『・・・・・・そうですね、その話・・・少し心当たりがあります』

『・・・・・・・・・』

『まず、先輩を襲ったという謎の男・・・
 おそらくそれは「一閃」のことだと思われます』

『何者だ?』

『ありすを狙う者です
 ・・・他に「凪」「如月」という仲間がいます
 同日・・・私達は「凪」の襲撃を受けました』

『ありすを狙う・・・ あの男確かにそう言っていたな
 生き残りの捕獲がどうのこうの・・・』

『ええ  そのことですが・・・
 ありすは光魔法≠受け継いでいるただ一人の生き残りです』

『光魔法?』

『光は癒しを与え・・・時には敵を貫く刃にもなる
 とにかく・・・強大な魔法です
 その魔力を求めてありすを狙う輩がいてもおかしくはありません』

『・・・そうなのか
 いまいち納得できないが・・・・・・今は納得しておくしかないか』

『・・・わからないことがありましたら、後ほど詳しく説明します
 次に正体不明の黒い生物のこと・・・
 あの生物は「異形」と呼ばれるこの世ならざる者のことです
 まぁ、このことは大して気にする必要はありません』

『そうか・・・』

『それで・・・刹那先輩のことですが・・・
 別の世界≠ノ飛ばされた可能性があります』

『別の世界だと・・・?
 そんなものがあるのか・・・?
 まさか・・・「あの世」とか言わないよな・・・?』

ストローでコップの中身をかき回し続ける椿
その行動に特に意味は無い
何故か咲華まで同じ動きをとっているのが気になる

『別世界のことは・・・私にもよくわかりません
 ただ、この世界とは別のもう一つの世界であることは確かです
 おそらく・・・先ほど言っていた「由真さん」はそこの住人かと思われます
 こちらの世界に・・・動物の身体の一部を持つ人間は生まれないはずですから』

『・・・そうなのか
 別世界・・・気になるところだな』

『・・・これから縁がないとは限りません
 おそらく・・・別世界の事を嫌でも知らなければならない時が来るでしょう』

『何故そんなことがわかる?』

『・・・そんな気がするんです
 最後に・・・先輩が見た「夢」のことですが・・・
 ・・・ ・・・ ・・・』

急に黙ってしまう咲華

『どうした?』

『ありすに・・・何か妙な人物が・・・近づいている・・・?』

ボソリと咲華は呟いた
椿はその呟きがいまいち聞き取れなかったようだ

咲華は眉間にしわを寄せ、ものすごい勢いでジュースを飲み干した
そして急に立ち上がり・・・

『す、すみません先輩!
 この話はまた後日に・・・!
 あの・・・飲み物ご馳走様でした!』

そう言うと彼女はダッシュで店から駆け出してしまった

『なんだったんだ・・・?
 というか・・・・・・俺の奢りなのか これ・・・・・・』

ため息をついてしまう椿だった

---しかし・・・あの子・・・俺の知らないことを知っている風だったな・・・
  一体・・・何をどこまで知っているんだ・・・?
  魔法の存在・・・ありすを狙う者・・・・・・
  あの子はありすの何なんだ・・・・・・?
  先ほどの様子から察するに・・・俺の見た「夢」のことも知ってそうだったな
  瑠璃垣咲華・・・・・・一体何者なんだ・・・?

To be continued......


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