『クスッ・・・変わってないね せっちゃん』


------Story04〜Setsuna's Episode〜『木葉』------


『また会えて嬉しいよ せっちゃん』

---俺のことを「せっちゃん」と呼び、「木葉」と名乗るこの子・・・
  一体何者だ・・・?

見知らぬ草原に見知らぬ少女と二人きりの刹那
森に近い雰囲気を持つ場所だったが、木はそんなに生えていない
だが、森のような雰囲気を感じさせる場所だった

『・・・せっちゃん?』

『なぁ・・・お前・・・どこかで俺と会ったことでもあるのか?』

二度目のそんな反応に再び落胆してしまう木葉
目に涙を溜めて・・・今にも泣き出しそうだ

『ホントに・・・覚えてないの・・・?』

消えてしまいそうな声で刹那に問う
今にも泣き出しそうな少女を目の前にして慌てる刹那
「とにかくなぐさめなくては」
女の子を泣かせるのは主義に反するのだろう

---でもどうやって慰めるよ?
  もしかしたらコイツの言う『せっちゃん』って別人かもしれねぇし・・・

『なぁ・・・俺の名前は・・・もちろんわかるんだよな?』

『うん・・・「朝斬刹那」
 忘れるわけないよ・・・』

---別人じゃ・・・ないみたいだな
  つーと・・・やっぱ俺のこと言ってるのか・・・

『・・・ ・・・ 私のこと・・・覚えてないんだね・・・』

ついに木葉が泣き出してしまった
思い出しそうではあるものの、
どうしても思い出せない刹那はとりあえず謝ることにした

『わ、悪ぃ・・・
 いまいち思い出せねぇんだ・・・
 なんか思い出しそうではあるんだが・・・』

『・・・ ・・・ ・・・』

『と、とりあえず俺達は知り合いなんだよな?』

『10年前・・・いつも一緒に遊んでたんだよ 私達・・・』

『10年前・・・・・・か』

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『エヘヘ・・・ 約束は・・・約束だよ』

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---ん・・・?
  今・・・一瞬何か思い出したような・・・・・・

『・・・せっちゃん、疲れてない?』

心配そうな目で刹那を見つめる木葉

『いや・・・別に  ・・・うっ』

刹那のお腹がズキッと痛んだ
とっさにお腹に手を添える刹那

---チッ・・・
  さっきのまっくろくろすけか・・・

『せっちゃん?
 具合・・・悪いの?』

『ちょ・・・ちょっとな
 いや、たいしたことねぇよ』

無理をして笑顔を作る刹那
木葉はそんな刹那を見て無理をしていることをすぐ察した

『無理しちゃダメだよ
 ・・・近くに私の家があるから・・・休もう?』

---・・・そうだな
  ここは好意に甘えておいた方がいいかもしれない
  ・・・コイツは一応信用できそうだしな


そして木葉の家に着く
周りに他の民家はなく、この家だけが寂しく存在していた
木に囲まれ、小鳥のさえずりが聞こえる場所である
ただ・・・あまり光は差し込んでいない

『ただいま〜  ・・・っていっても誰もいないけど・・・』

『一人暮らしなのか?』

『うん  お父さん・・・そしてお母さんとはぐれちゃったの・・・
 ・・・小さい頃にね
 だから・・・私一人だけ』

---こんな女の子が一人暮らしか・・・
  大変そうだな・・・

『あ、そこのベッド使っていいよ
 ゆっくり休んでね』

刹那は言葉に甘えて一つだけあるベッドに横になる
そして仰向けになってあることに気がついた

---・・・このベッド・・・普段はあいつが寝てるベッドだよな・・・?
  なんだかいい香りがするんだが・・・

そう気づいた刹那は一瞬顔を赤らめて寝返りをうった
そして木葉に背を向けたままこう尋ねた

『なぁ・・・ここはお前一人の家なのか?』

『ん?どうしてそう思うの?』

『ベッドが一つしかないし・・・
 こういっちゃ悪い気はするけど・・・三人で暮らすには狭いだろう?』

『・・・・・・うん、そうだよ
 ここは私一人の家・・・
 ある人に建ててもらったんだ』

刹那が再び寝返りをうち、木葉の後姿を見る
木葉はエプロンをつけて料理をしているようだ

『一人じゃ・・・大変じゃないのか?』

『ううん、そうでもないよ・・・
 ずっとある人にお世話になりっぱなしだったから』

『誰なんだ?その人は・・・』

『・・・ ・・・ ・・・そういえば名前聞いたことないかも・・・』

『あ? ・・・なんだそりゃ・・・』

呆れてため息をつく刹那

『で、でもいい人だよ
 性別もわからないけど・・・』

『は・・・? んな奴がいるのか?』

『うん  私はセイジさん、って呼んでたけど・・・』

木葉は振り返って皿を出す
そしておかゆを盛り付け、テーブルに運んできた

『はい、とりあえず・・・おかゆ』

『いや、俺は風邪じゃねぇぞ?』

苦笑いを返す刹那
木葉は少し驚いてしまった

『え!? で、でも・・・お腹痛そうにしてたし・・・』

『あぁ・・・あれは殴られたんだ』

正しくは体当たり、または突進である
もしくは頭突きといえるだろう

『あ・・・あゎゎ、どうしよう・・・』

『いや、ありがたくもらうぜ
 せっかく俺のために作ってくれたんだしな
 それに漢として女の子の手料理を食わないわけにはいかないだろ?』

そして刹那はおかゆを食べ始めた
なかなか速いペースで食べている
そんな刹那の様子を微笑んで見ている木葉だった

『クスッ・・・変わってないね せっちゃん』

『んぁ?そか?』

--------------------------

『約束だよ・・・私のこと・・・「このちゃん」って・・・呼んでね・・・ ・・・せっちゃん』

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---ん?
  ・・・また何か浮かんできた気が・・・
  一瞬過ぎてよくわからねぇな・・・


そして約一週間の時が経過した
いつの間にか一週間も木葉の家に居座ってしまっている刹那だった

『あのさ・・・俺、邪魔じゃないか?』

『ううん  せっちゃんと一緒にいれて嬉しいよ』

ベッドから顔を出す木葉
さすがに女の子を床に寝かせるわけにはいかなかったので、
刹那が床に寝ていた

---今のって・・・
  いや、さすがに早とちりだよな
  そんなギャルゲーみたいな話が落ちてるわけがねぇ

そう思いながらも顔がニヤけてしまう刹那だった

---そうだな、この気持ちを椿に教えてやるか!

テンションが上がってしまった刹那はものすごい勢いでメールを打った

「:YO! 元気か? 俺は元気だぜ」

そう書いて椿に送った

しばらくしてメールが返ってくる

「:無事だったのか  今どこにいる?」

と書かれていた

---どこ・・・つってもどこだここ・・・?
  木葉の家、つってもわからねぇだろうしなぁ・・・
  とりあえず・・・

「:どこかは・・・わからねぇ  とりあえず俺の知らないどこかだ
  ・・・まるでゲームの中にあるような風景だが・・・」

確かにここはRPGの世界なんかにありそうな風景が見える
そういうわけでこう書いて椿に送った

バタッ

突然何かが落ちる音がした

---何だ?

後ろを振り返ると木葉が倒れていた
ベッドから転げ落ちたのだろうか?

『おい、大丈夫か・・・?』

『はぁ・・・はぁ・・・』

『!』

刹那は飛び起きて木葉に近寄る
額に手をあて、熱を測る

---すげぇ高熱じゃねぇか!
  一体どうしたんだ・・・!?

緊急事態だと思った刹那はとりあえず椿に「携帯の電源を切る」とメールで伝えて、            
木葉をベッドに寝かせた

とても苦しそうな木葉の様子に胸が締め付けられる感覚を覚える刹那だった・・・・・・

To be continued......


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