『・・・すみません、風峰先輩でもこれだけは・・・言えないです』

『・・・そうか  でもいろいろとありがとう』

『いえ・・・ それでは』

放課後・・・学校の裏庭
一人の少年が別れを告げる
そして彼は裏庭から去っていった・・・


------Story12〜Crast's Episode〜『情報』------


『あんなこと、言えるわけないよな・・・』

裏庭で譜織と別れ、しばらく歩きながらクラストが呟いた

『先輩はありすさんのことが気になってるみたいだし・・・』

そして寂しそうに空を見上げ・・・こう言った

『彼女に死が迫っているなんて・・・・・・言えないな・・・』

『ちょいと待ちな、今の話・・・本当なのかい?』

一瞬だけ強い風が吹き・・・木の葉がざわめく
どこかから聞こえた謎の声に反応するクラスト

『誰だ!』

何故か聞き覚えのあった声
全てを見通すような・・・妙に印象に残る声だった
だから・・・覚えていた
どこから聞こえてきたのかはわからない
わからなかったが・・・クラストは後ろを振り向いた
案の定・・・彼の背後には緑髪の少女が立っていた

『あなたは確かジェリアス・・・・・・でしたか』

『へぇ・・・あたしのこと知ってるんだ?』

クラストは「フッ・・・」と笑った

『何を言ってるんです?
 まるで今・・・初めて知ったかのような言い方・・・  あの時・・・既に気づいていたんでしょう?』

『・・・・・・あんた・・・只者じゃないね?』

『あなたもね』

『・・・・・・生意気な奴は長生きできねーぞ?』

少し呆れたようにジェリアスが言う
それに対してクラストは空を見上げて静かに言った

『自分の目的を果たすまでは・・・死ねませんよ』

『・・・ま、あたしの知ったことじゃないさ
 それより・・・生き残り≠フ死が迫っている・・・ってのは本当なのかい?』

ジェリアスがクラストに訊ねたが・・・クラストは不適な笑みを見せてこう答えた

『タダで教えるつもりがあると思いますか?』

『・・・へぇ、素直じゃないね
 何が望みよ?』

『情報≠ナす
 以前言いましたね? 僕が関わると・・・厄介になる、と』

『・・・キャリアか・・・
 余計なことを口走るなよな・・・ ・・・ったく』

『確か・・・パルシア、という人でしたか
 僕が関わると厄介になるのは』

『フン・・・まぁいいさ
 何を知っても後悔しない・・・ってんなら教えてやる』

「やれやれ」と言わんばかりにジェリアスがため息をつく

『契約成立ですね』

『ホント・・・長生きしねーぞお前?』

『では・・・本題ですが、ありすさんに死が迫っている・・・
 これは先日光の力が目覚め・・・その力を解放したため魔力が枯渇しかけている・・・
 それだけのことです』

『・・・へぇ、それに加えて8年前のアレ・・・か
 ・・・・・・本当にそれだけかい?』

『僕が知ってるのはこれくらいですね』

『・・・・・・そうか
 ふ〜ん・・・・・・・・・・・・』

ジェリアスはクラストの顔をまじまじと見つめる

『?』

そんなジェリアスの様子を不思議に思ったクラストは頭にクエスチョンマークを浮かべる

『意外と情報少ないみたいだね?』

ジェリアスはクスッと笑い、そんな不敵な笑みを見せた

『な・・・ ど、どういうことですか・・・?』

『い〜や、なんでもないさ
 ほんじゃこっちの情報を教えようか クラスト・・・
 ・・・いや、ラグと呼ぶべきかな?』

その名前を聞いた途端、クラストの雰囲気が変わった
彼はジェリアスを睨みつけて問う

『何故その名前を知っている・・・』

『さあね?
 それよりもパルシアのこと・・・だったな
 ん〜・・・・・・そうだな、同じくらいの量の情報で言うと・・・
 あいつの本名は「パルシア=ランゼル」 これくらいか』

『パルシア・・・ランゼル・・・
 「ランゼル」・・・だと・・・?』

『そう ランゼルだ』

『・・・・・・・・・・・・ まさかそんなはずは・・・
 いや・・・そういうことなら・・・
 ・・・・・・僕が関わると厄介になる▼・・
 つまり・・・そういうことなのですか』

『あんたがどう考えてるかまでは聞かないさ
 だけど・・・あんたの予想は間違っちゃいないと思うよ』

クラストはしばらくその場に静止する
風が吹いた時・・・彼はジェリアスに背を向けて

『だけど、僕が関わるかどうかは・・・僕自身が決める
 それだけですからね』

『・・・後悔すんなよ?』

『・・・・・・・・・・・・』

そしてクラストは去っていった
静かな風が吹く
穏やかな風・・・平穏を知らせているかのようだった

『・・・ついに光が目覚めちまったのか
 だとすると・・・オマケのツインテールが邪魔だな・・・
 あいつが・・・生き残り≠フ命を削っているもう一つの原因だからな・・・』

木の葉が風に揺れる
ざわざわと音を立て・・・時折木の葉が舞い降りて・・・
ジェリアスは空を見上げる・・・
雲ひとつない青空
それを見ているだけで気分が癒されるようだった

『いや・・・あいつがすべての原因なのかも・・・しれないな』

ジェリアスは最後にそう呟き・・・風のように消えてしまった
静かになったその場では・・・木の葉のざわめきだけが聞こえてくるのだった・・・

To be continued......


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