『でも本当は「ありす」の中に眠るペガサスを自分のものにしたいだけなんだろ?』


------Story04〜Nagi's Episode〜『偽りの理由』------


とある街中の商店街
平日のためか、人はあまり多くはない
その中に一風変わった三人組がいた
外見はいたって普通なのだが、何故か特別目立っていた

『あ、コレ可愛いです〜』

商店街のアクセサリーショップ
そこに並べられているアクセサリーを眺めていた一人の女性が目をキラキラ輝かせて言った
その横にいる青年が呆れたようにため息をつく

『はぁ・・・
 お前さっきからそればっかりじゃないか・・・』

『だって可愛いものは可愛いんですよぉ〜』

とにかく目を輝かせている

『はぁ・・・  なぁ、一閃・・・
 お前からも如月に何とか言ってやってくれ・・・』

『・・・いつものことだろう
 放っておけ 凪』

三人組の名前は「凪」「一閃」「如月」
目を輝かせている女性が如月
その横にいる青年が凪
そして二人の後ろにいる背の高い青年が一閃である

『たく・・・  戦闘の時とはまるで別人じゃないか・・・』

そんな凪の呟く声が耳に入った如月は頬を膨らませる

『む〜・・・争いは嫌いなんですよぉ・・・』

『何言ってんだよ・・・
 あの時のお前・・・まるで血に飢えてるみたいだったぜ?』

『そんなことありませんよぉ!
 凪だって先週のあの時口調がおかしかったじゃないですかぁ』

『な・・・っ!
 あ、アレは女性に対する礼儀というやつだ!』

『私相手にはそんなことしないのにぃ・・・』

『今更お前相手にかしこまってどうする・・・・・・』

『そもそもあの子のお兄さんに対する敬意じゃなかったんですかぁ?』

『う、うるせぇっ!』

二人の口論はなかなか終わらない
お店の店主が迷惑そうだ
店主の様子を察した一閃は二人をヒョイと持ち上げ、店の前から去っていった

『お前ら・・・何しに来たんだ?』

少し怖い顔つきで一閃が尋ねる
なんだか青筋が立っているようにも見えた

『お、俺に聞くなよ
 如月が「商店街に行きたい」って言ったから・・・』

『だって・・・一週間に一度きりの休みなんですよ?
 たまに出かけるくらい・・・いいじゃないですかぁ・・・』

『どこがたまに≠ネんだか・・・
 毎週毎週行ってるだろ!』

また口論になりそうだと察知した一閃は二人の頭をポカリと殴った
喋ってる途中に殴られたので二人とも舌を噛んでしまったようだ

『さ、帰るぞ』

凪と如月の二人はいまいち納得いかなそうだったが、
あまり長い時間仕事を放棄するわけにもいかなかったのでしぶしぶ帰ることにした

三人の目の前に真っ黒な空間の歪みが現れる
三人はその中へ消えていった
そして数秒後・・・その空間も消滅した


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たくさんの水晶が輝く洞窟
水晶が光を発しているのか、どこかから発されている光を反射しているのか・・・
洞窟内はとても明るい

『ひ〜まひまひまひ〜〜ま〜〜だ〜〜よ〜〜ぉ〜〜!』

洞窟内に響き渡る少女の声
その少女は水晶の上でジタバタしている
響き渡った声からして退屈な様子である

少女の外見は15歳前後といったところ
髪の色は水色で日本人ではないようだ
瞳の色も水色である

『ひ〜ま〜ぁ〜!』

ジタバタしている様子から察すると精神年齢は結構幼いようだ
駄々をこねている幼児のような様子だ

『〜っるっさいなぁ!』

突然別の少女の声が聞こえた
洞窟だけあって声が響くのでどの方角から聞こえたのかよくわからない

その声に気づいた水色の髪の少女はピタリと静かになり、
キョトンとした表情になった

『久しぶりに来てみれば・・・
 ・・・・・・何叫んでんのさ パルシア』

東の方角にある通路の奥から緑髪の少女が姿を現した
どうやら声の主はこの少女らしい

『あ〜!ジェリーちゃん♪』

パルシアと呼ばれた少女の表情がパァッと明るくなる
とても嬉しそうだ

『ジェ・リ・ア・スだ!』

『い〜じゃん ジェリーちゃん可愛いよ〜♪』

『・・・たく、お前は幼稚園児か・・・?』

呆れたようにジェリアスがため息をついた
すると今度は急に真剣な目つきになって

『ところで・・・アレはゲットできたのかい?』

『う〜〜〜・・・
 知ってるくせにぃ・・・ジェリーちゃん意地悪だぁ・・・』

『ハハハッ  ああ、わかってるさ ぜぇ〜んぶな
 目星をつけただけで捕獲はできてないんだろ?』

プクーッと頬を膨らませるパルシア
そんなパルシアが面白いのかジェリアスはケラケラと笑っていた

『まぁまぁ、そう怒るなって
 今日は全員で協力してやろうと思って来てやったんだよ』

『え?みんな来てるの?』

パルシアの目がキラキラと輝いた
しばらく会っていないのだろう
とても期待に満ちた瞳をしている

『まぁ、みんなは外で待ってる
 その前に・・・あいつらを何とかした方がいいな』

ジェリアスの視線の先には三人の人影が見えた
どうやらジェリアスが連れてきた「みんな」とは違う人物のようだ

『あ・・・なっちゃんにいっちゃんにきーちゃん・・・』

その人物とは「凪」「一閃」「如月」の三人だった
ジェリアスはいつの間にか姿を消し、三人がパルシアのところまで来た

『今帰ったぜ』

凪が軽く挨拶をする

『楽しかった〜?
 パルちゃんも行きたかったなぁ〜』

パルシアは物足りなさそうな顔でそう言った
人差し指までくわえてしまっているのでとても幼い子どものポーズで喋っていた

『・・・で、やっぱり今回も生き残り≠追いかけろってか?』

突然真剣な表情になって凪が尋ねる

『あったりまえじゃん
 逃がしちゃダメだよなっちゃん』

パルシアが少しキツい口調で言う
・・・が、外見と動きのせいもあってか全然迫力がない
腰に両手を当てて頬を膨らませている、そんなポーズだった

『・・・わ、悪かったよ
 今度は・・・捕まえてくるさ』

『ホント〜?
 私信じてるからね〜?コレは世界の危機なんだよ?』

「世界の危機」という単語をあっけらかんと言いのけるパルシア
一閃、如月の二人はただ黙ってそのやり取りを見ていた

『わかってる・・・何度も聞いたさ』

静かに凪が呟く

『・・・「ありす」の種族とその兄「椿」の種族が接触すると・・・
 妙な力が暴走して世界のすべての秩序が狂っちまうんだろ?』

『そうそう♪
 じゃ、頑張ってね〜』

『・・・・・・魔力の供給・・・忘れるなよ』

そう言って凪達三人は西の通路の奥へと姿を消した
そして数秒立った後ジェリアスがパッと現れた

『・・・上手く言いくるめたもんだねぇ
 「世界の危機」? んなことないってのに』

感心したようにジェリアスが呟く
パルシアにしてはよくできた、と言っているようなものだ

『・・・う〜ん、どっちかというと「魔力供給」してあげてるから
 従ってくれてるんじゃないかなぁ』

『まぁ・・・それもそっか
 でも本当は「ありす」の中に眠るペガサスを自分のものにしたいだけなんだろ?』

『だってペガサスってキラキラ〜って可愛いじゃん♪』

『まぁ、悪くはないよな
 ペガサスの生き血は不老不死にしてくれるとも言うし・・・』

パルシアとジェリアスは「してやった」という様子でクスクス笑っていた
西の通路へと消えていった凪達を見るように・・・笑っていた

『・・・・・・まぁ、あの三人が捕まえてくれるとは思わないけどね』

『む〜・・・そんなことないよぉ』

『まぁいいさ
 さ、みんなが待ってる  行こうか』

『うん♪』

そして二人は東の通路へと姿を消した
洞窟内では二人の笑う声がずっと響いているのだった・・・

To be continued......


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