---最近おかしい事だらけだ・・・
  悪霊・・・異形の数が増えてきた気がする
  それに・・・俺に憑いた悪魔だってそうだ・・・
  妙なことばかり起きてる・・・これは何かの前兆なのか・・・?


------Story12〜Fol's Episode〜『濁された言葉』------


いつも通りの平和な日常
いつも通りの学校
そして騒がしい教室・・・
そんな高等部2-Aの教室の壁にもたれている人物の姿
彼の名前は「風峰 譜織譜織フォル

---また悪霊が外を彷徨っているな
  そういえば・・・悪霊と異形はどう違うんだろう?
  見た目が異形なだけで・・・中身は悪霊なんじゃないのか?

そんなことを考えつつ窓の外を見る
特に害のなさそうな異形がフワフワと飛んでいるのが見えた

---他の人には見えていないのか?
  あんなのが空を飛んでいたら嫌でも目が行ってしまうはずだ
  それなのに・・・誰も気づいていない
  ・・・もしかして・・・俺がおかしいのか?

黙ったまま・・・ただ外を眺める
今さっき飛んでいた異形は見えなくなっていた

---やっぱり聞きたいことが多いな・・・
  ここはあの人に聞いてみるべきだろうか・・・

そう考えた譜織は携帯を取り出す
そしてその人物宛にメールを送った

「:ちょっと話がしたい
  放課後にいつもの場所で」

メールの内容はそんな文章だった

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして3時間目から4時間目までの休憩時間

ヴーッヴーッ

携帯が振動する
学校内なのでさすがに音は消している
どうやらメールを受信したようだ

「:分かりました
  少々遅れるかもしれません。」

先ほど送ったメールの返事だった
譜織はそのメールを確認し、携帯を静かにポケットにしまう
クラスメイトに「彼女からのメールか?」などと冷やかされたりしたが、
特に気にもせず軽く流す譜織だった

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして時は流れ・・・本日の全ての授業を終え放課後になる
譜織はせっせと帰り支度をしていた

『フォル!一緒に帰ろうぜ?』

友人達の一人に声をかけられる
譜織は支度を済ませ、鞄を手に持つ

『あ・・・悪い 今日はちょっとやることがあるから・・・』

申し訳なさそうに譜織は友人の誘いを断る

『お・・・そうか わかった
 じゃあな』

「珍しいこともあるもんだ」といった表情であっさり受け入れる友人達
譜織の用事を気にする様子もなく彼に別れを告げる友人達だった

『ああ・・・悪いな』

そう言って譜織は教室をあとにした

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

そして数分歩き・・・譜織の言ういつもの場所・・・
普段は「裏庭」と呼ばれる場所に着く
どうやら相手はまだ来ていないらしい
譜織は鞄を置き、木陰に腰をかけて相手を待つことにした

そして待つこと数分・・・
駆け足で近づいてくる足音が聞こえてきた

『すみません、ちょっといろいろあって・・・』

そこに現れたのは高等部1年・・・柊クラストの姿だった
譜織の待っていた相手は彼で間違いないようだ

『いや、俺も今し方来たところだ』

背伸びをしながら譜織は立ち上がる
そして青空を見上げて軽く深呼吸をする
すがすがしい空気が入り込んできた

『それで・・・話とは何ですか?』

クラストが本題を切り出した
ある程度話の内容を予測しているのか真剣な目つきで訊ねるクラスト
それに対して譜織も真剣な目つきになる

『最近起こっていることだ』

『最近起こっていること・・・ですか』

『ああ・・・ 最近増えてきた異形や・・・
 異常なほどまでに感じる妙な力のこと・・・』

クラストがしばし考え込む
数秒の沈黙
冷たい風が吹き抜ける
クラストはゆっくりと顔を上げて言った

『えっと・・・いろいろと妙な力が起こり始めたことについては・・・
 調査した結果、中等部3年に瑠璃垣咲華さんが来た日から起こり始めたみたいです』

『中等部3年・・・ありすさんの学年か』

『やはり一番最初に彼女の名前が浮かんでくるんですね』

少しからかうように言うクラスト
そう言われて目を逸らす譜織だった

『・・・・・・そ、そんなこと・・・どうでもいいだろ
 ・・・話を続けてくれ』

『実は・・・そのありすさんが重要なポイントなんです』

『ありすさんが・・・?』

『そう・・・ありすさんが只者じゃないのは分かってましたが・・・
 どうやら・・・光の力≠持っているみたいです』

『光の力!?』

驚いて声を上げる譜織
クラストは冷静に話を続ける

『ええ、光については・・・以前話したとおりです
 全てを癒す力・・・
 それは時として敵を貫く刃ともなる・・・』

『・・・だが、理のサポートがないことには威力を発揮しない、だったか?』

『そうです  光は強大な魔力を持っていますが・・・そこに攻撃力は存在しない
 そこで・・・理魔法の魔力を増幅させて刃とするわけです』

『つまり・・・光の使い手一人だけでは攻撃のしようがないということか・・・』

『そういうことですね
 それゆえに・・・光にはパートナーが必要になります』

『しかし・・・何故ありすさんが光の力を・・・』

腕を組んで考え込む譜織
そんな彼に対してクラストはあっさりと答えを述べた

『先祖代々継がれてきた能力です
 ただそれだけのこと・・・
 つまり・・・生まれつきこの能力を持っていたことになりますね』

『そうなのか・・・』

『ええ、その力がつい最近発動したみたいです
 ・・・・・・でも・・・・・・・・・』

突然クラストが言葉を濁す

『でも?』

濁した言葉に少し嫌な予感を感じつつ譜織はクラストに訊ねたが・・・

『・・・すみません、風峰先輩でもこれだけは・・・言えないです』

『・・・そうか  でもいろいろとありがとう』

『いえ・・・ それでは』

クラストはそう言って去っていった
裏庭に独り残された譜織
彼は空を見上げ・・・

『ありすさんに何が・・・・・・』

そう呟いていた・・・

To be continued......


Back



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送