『お師匠様どこ行きます?』

『・・・どこでもいいけど?』

『ダメダメ! 楓ぴょんは女の子をリードしなきゃ
 男の子なんだから』

『い、いや・・・そんなこと言われても』

『頼りないなぁ もう』

休日の街の中
二人の少女と一人の少年が歩いていた・・・


------Story09〜Claus's Episode〜『追跡』------


『〜〜〜♪』

鼻歌を歌いながら前を歩く由真
その後ろにはクラウスと楓が並んで歩いている

『お師匠様?どうかしましたか?』

楓が難しそうな顔をして歩いていたのに気づいたクラウスが尋ねる

『・・・・・・』

『お師匠様?』

『あ・・・な、何?』

『どうかしたんですか?
 難しい顔してますけど・・・』

『・・・いや、ちょっと・・・ね』

『?』

『光の力を感じる・・・ ・・・ような気がする』

『光・・・ですか?
 え〜と・・・確か、使い手は澤咲ありすさん・・・?』

『ん、多分だけどね
 ・・・・・・この辺にいるんじゃないかな』

『ん〜? 何々?二人とも何話してるの〜?』

由真が弾みながら振り返る
とても機嫌が良さそうだ

『・・・前を歩いているあの桜色の髪の人と・・・青紫色の髪の人と・・・金髪の人が怪しいかな
 ・・・・・・三人もいちゃ特定できないけど・・・
 しかも三人とも別々に凄い力を感じるし・・・・・・』

『お話してみればいいんじゃないですか?』

『え・・・』

『ねぇ〜! 何の話なの〜?』

やや不機嫌そうな表情になっている由真
相手にされていないと思ったのだろう
・・・実際されてなかったかもしれないが

『え、あ・・・いや こっちの話だよユマりん』

『えぇと・・・はい、そう・・・そんな感じです』

『あれ?ぼく邪魔だった・・・?』

『え゛?そんなことないよ?全然』

『・・・だってさ・・・二人・・・仲良いじゃない?
 もしかしたら・・・あーゆー関係なのかなぁ・・・って』

『いやいや!ちょっと待った!!』

『お、お師匠様と・・・私が・・・?』

焦る楓と赤面するクラウス
そしてなんだか悲しそうな由真

『そうじゃないから!
 ・・・・・・な、なんていうか・・・秘密の話ってやつ』

『二人だけの秘密・・・』

『違うって!』

必死に主張している楓
クラウスは赤面しているもののなんだか少し悲しそうだ

『あぁ・・・もう、わかった
 前を歩いているあの人たちがちょっと気になって』

『・・・楓ぴょん惚れっぽいんだ・・・』

『何でそうなるの!?』

『ま、まぁ・・・とりあえずお話してみましょうよ
 ハッキリしないままなのもいけませんし・・・』

『ん・・・そうだね  光の使い手の生き残りが本当にいたなら大事だし・・・』

『光?』

『あ、いや・・・こっちの話』

『・・・私だけ仲間はずれぇ・・・』

『いやいやいや・・・ ん〜・・・
 今度話すよ  そのことについては』

『・・・わかった  今日はそれで許しといてあげる♪』

『さて、見失う前に追いかけないとね』

『尾行するんですか・・・?』

『・・・いや、女の子はどうも苦手で・・・』

『ぼく達女の子だよ?楓ぴょん』

『・・・・・・いや、二人は特別だから』

『と、特別・・・って  お師匠様・・・』

『あぁぁ・・・・もう』

「なんでそーゆー意味で受け取るかなぁ・・・」
ひたすら頭の中でそう呟いている楓だった

そして三人は前を歩く少女三人を追いかけた
どこからどう見ても尾行しているようにしか見えない

『お師匠様・・・普通に話しかけましょうよ』

小さな声でクラウスがささやく

『いや・・・話しかける勇気が・・・』

そんな楓の反応に苦笑いを返すクラウスだった

『気のせいかもしれないけどさー
 あの三人・・・歩くの速くなってない?』

『な・・・ まさか・・・
 ・・・・・・速いし!』

少女三人は先ほどより速いペースで歩いていた
早歩きというかもはや走っているとしか表現できない

『これって逃げられてるよねー』

『のんきなこと言ってる場合じゃないよ!』

『・・・で、さっきから周りの視線が痛いんだよね 何故か
 ぼく・・・何かしたかな・・・』

『・・・・・・・・・・・・
 ・・・耳じゃない?』

『なるほど♪』

『あ・・・もしかして由真さん怪しまれてるんじゃ・・・
 だから・・・逃げちゃってるんじゃないでしょうか』

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

しばらくの沈黙
三人とも苦笑いを見せ合っていた

クラウス達三人は進路を変えてあるお店に入った

『・・・楓ぴょん・・・  夏服でも買いに来たの?』

『いやいや・・・ユマりんの服を探してるんだけど』

『な、なんでぼく!?
 まさか・・・プレゼントしてくれるの?』

とても嬉しそうな由真
楓は相変わらず苦笑いを見せていた
クラウスは店の隅っこで寂しそうに二人を見ていた

『・・・クラちゃん?』

『あぅっ!? なな・・・なんですか!?』

突然クラウスにコートを着た人物が話しかけてきた
コートが大きいのか体が小さいのか・・・ぶかぶかである
それに帽子までかぶってしまっている
だが、その声には聞き覚えがあった

『そ、そんなに驚かなくても・・・』

『あ・・・由真さんでしたか』

『どう?似合・・・ってないよね コレ・・・
 楓ぴょんセンス悪すぎるよ・・・・・・・・・』

『いや、とりあえず怪しまれないように・・・服でフォローしようかと・・・』

『これじゃますます怪しいよ!!』

もっともなツッコミである

『とりあえず耳は隠さないと』

『なら帽子だけでいいじゃん・・・』

『セットでしかなかったんだよ・・・
 ・・・・・・財布が寂しくなった』

『・・・まぁいいけどさ
 買ってもらったわけだし・・・今日だけ着ておくよ』

そんなやりとりを指をくわえて眺めているクラウス
相変わらず隅っこで寂しそうにしている

『クラちゃんどうかした・・・?』

『あ、い・・・い、いえ!なんでもありません!
 さ・・・さぁ、いきましょー!』

そして三人は店を出た

『きゃっ!?』

『わっ!?』

店を出たらバッタリ対面・・・といったところだろうか
先ほど追跡していた三人が目の前にいた

『あ・・・す、すみません!』

金髪の少女が謝るとダッシュで駆け出してしまった
他の二人も後を追って駆け出してしまった

『・・・逃げちゃった』

『お、追いかけ・・・るべきかな?』

『追いかけなきゃ今までつけてた意味が無いじゃないですか!?』

そしてクラウス達三人は走って少女達を追いかけた
由真だけがやたら怪しく見える
由真に突き刺さる視線は先ほどより強くなっていた
本人は気にしていないようだが

三人の少女のうち、桜色の髪の少女が突然振り返り何かをブツブツ唱え始めた
楓はそれに気づきとっさに風魔法で障壁を作った

その後、案の定目の前で炎が燃え盛った
風の障壁が無ければ直撃だっただろう

煙が消えて前が見えるようになった頃・・・三人の少女の姿は見えなくなっていた

『ありゃりゃ・・・逃げられちゃったよ』

『・・・う〜ん・・・ どうして逃げるんだろう・・・』

「・・・由真さんがあからさまに怪しい衣装だし・・・
 必死に追いかけられたら逃げたくもなりますよ・・・」
クラウスは心の中でそう呟いた

『・・・とりあえずわかったことがある
 あの金髪の人が・・・光の使い手
 姫梓原の生き残りだよ』

『・・・姫梓原・・・・・・ですか』

『よし、仕切りなおしだ
 光の気配をたよりに・・・もう一度追いかけよう』

『懲りないね・・・楓ぴょん』

『光の使い手を絶滅させるわけにはいかないからね・・・』

『だから光って何なの・・・???』

『さ、行こう
 水無月さん、ユマりん』

そして三人は裏道を抜けて歩き出した
その数分後・・・盛大な追いかけっこをすることになるとは・・・まだ誰も知らないのだった・・・・・・

To be continued......


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