昨日・・・突然胸の辺りが苦しくなった・・・
呼吸するのも辛いほどだった・・・
「死んでしまう」
・・・そんな言葉が頭をよぎった
・・・一体何が・・・?
私・・・どうしちゃったの・・・?


------Story12〜Alice's Episode〜『  』------


キーンコーンカーンコーン

全ての授業が終わり、放課後となる
途端にあたりがにぎやかになる
ありすは荷物を整えて帰り支度を済ませ、
同じ教室にいるであろう咲華の姿を捜し始めた

・・・しかし教室を見渡しても咲華の姿は見当たらない
彼女の桜色の髪はとても目立つので人ごみの中にいてもすぐわかる
もしかして先に帰ってしまったのだろうか?
でも彼女の机にはまだ教科書が残されている
・・・となるとまだ校内にいるのであろう
ついさっきまで隣の席に座っていたのに・・・いつの間にいなくなってしまったのだろう?

トイレか何かと思いしばらく教室で待ってみるありす
・・・しかし咲華は戻ってこなかった
考えていても仕方ないと思ったのか、
ありすは自分の荷物を持って教室から出る
そして廊下を見渡すがやはり咲華の姿はない
不思議に思ったありすは「咲華を捜そう」と、とりあえず職員室方面へ向かうことにした

先生に何か質問でもあったのだろう、と思い職員室へ向かうありす
通った廊下を隅々まで見渡したり、通りかかる教室の中も見回した
だが・・・やはり咲華の姿はなかった
そこでありすはふと思った

---咲華って・・・こっちに知り合いいるのかな・・・?

咲華がこの学校に来てから2週間ほど経っただろうか
今まで咲華を見てきたところ・・・彼女がありす以外のクラスメイトと話しているところを見たことがない
先生とも必要最低限の会話しかしていなかったような気がする
もしかしてまだ友達ができていないのだろうか?
他に思いあたる知り合いといえば・・・保険教師の春希先生・・・・・・
確か「従姉妹だ」と言っていた

---もしかしたら春希先生のところにいるのかも・・・

ありすは進行方向を変更し、保健室目指して廊下を歩いていった
もちろん、それまでに通りかかった廊下、教室を全て見渡しながら

しばらく歩き、保健室の前に来る
何故かこの廊下は人気がなく、まるで夜の学校であるかのように静かだった
保健室の扉は閉められていて、その扉には
「用がある方はノックして入ってください」
という張り紙が貼ってある

人気のないこの廊下で人の話し声が聞こえる
保健室の中からだろうか
誰の声かはわからないが中で会話しているのは二人だと思われる
ありすが中に入ろうと扉をノックしようとした時・・・

コツコツ

背後からガラスを叩くような音が聞こえた
ありすは後ろを振り返り、ガラスの向こうにいた人物を見て表情を明るくした
そこにいたのは青紫色の髪で、同じ青紫色の瞳を持ち、年齢はありすと同じくらいの変わった服装をした少女
マリアーヌ・キャストライトである
マリアーヌは相変わらずの無表情のままでありすを手招きしていた
保健室の向かい側には中庭へ出る扉があった
何か話があるのだろう
ありすはその扉を開けてマリアーヌの名を呼んだ

『マリア! どうしたのこんなところで』

マリアーヌは黙ってありすに近づき、ありすの腕をグイッと引っ張った
そのままありすを自分のすぐ近くまで引き寄せるマリアーヌ
そして黙っていた彼女がようやく口を開いた

『ありす、ちょっといいか・・・?』

小さな声でそうささやいた
ありすは『何?』と答える
マリアーヌは本題に入る前にあたりをキョロキョロと見回し、
誰もいない、というのがわかったのかホッと胸をなでおろしていた
彼女にしては珍しく落ち着きのない様子である

『少し頼みがあるんだが・・・』

マリアーヌはボソッとした声で話し始める
大きな声では話せないようなことなのだろうか

『あの・・・だな、その・・・「音霧 楓」、・・・覚えてるか?』

言葉をかみながら声を発するマリアーヌ
いつも冷静で落ち着いている彼女にしては珍しいことである
ありすは何故その名前が出てくるのだろう、と思いつつ昨日の出来事を思い出してみる
「音霧 楓」 ・・・確か緑色の髪をしていた
そしてポニーテールの少女と猫耳の少女が一緒にいたのを覚えている
彼とは自己紹介をした程度でそれ以外の会話をしたことがない
おそらくマリアーヌも同じなのではないかと思われるのだが・・・

『そのだな・・・・・・彼が私のことについて何か訊いてきたとしたら・・・
 「ただの友達だからよくわからない」・・・と、答えてくれるか?』

『え? ・・・どうして?』

マリアーヌも不思議なことを言うものだ
自分にはいろいろと打ち明けていたのに他の人間には隠しておいてほしい、とは・・・
それは自分が信頼されているからなのだろうか?
しかし・・・そうだとしたら彼女の落ち着きのない態度は何を表しているのだろう?
単純に正体を隠したいわけではなさそうに見えるのは気のせいだろうか?

『い、いや・・・どうして・・・と言われてもだな
 と、とにかく!音霧に何か訊かれても私のことは隠しておいてほしいんだ
 ・・・・・・頼む』

いつもと違うその態度と必死に頼む彼女を見て「よほどの事情があるのだろう」と察したありす
だから理由は訊かずに『わかった』と答えておいた
するとマリアーヌは『ふぅ・・・』と肩の力を抜いて『やれやれ』と呟いた
結構切羽詰っていたらしい
そしてマリアーヌは用件だけ済ませると『じゃ・・・また今度』と、いつも通りの様子で去っていった

ありすはただキョトンとして、軽く手を振りながらマリアーヌの後姿を見つめていた
マリアーヌが何処へ行くのかはわからなかったが、彼女の後姿はやや震えているようにも見えた
そんなマリアーヌの姿が見えなくなると、ありすは気を取り直して保健室の扉に手をかける
そして扉を開けようと軽く手に力を込めようとしたその時・・・

ガラッ・・・

まだ力を込めていないのに勝手に扉が開いた
・・・いや、向こう側から誰か開けたのだろう
ありすは再びキョトンとした表情で扉の向こうに立つ人影を見つめた
そこにいたのはありすより少しだけ背の高い男性だった
彼の方もキョトンとした表情でありすを見つめていた

わずかな沈黙
実際にはほんの数秒でしかない沈黙が、それの数倍もの時間に思えた
状況を把握できずにいる二人
沈黙から5秒間
やっと状況を理解できた二人は、
To be continued......


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