『どこに行く?ありす』

『ありすは・・・どこがいい?』

『な、なんで二人とも私に聞くの?
 二人は行きたいところとか・・・ないの?』

休日の街の中
三人の少女が仲良く歩いていた・・・


------Story09〜Alice's Episode〜『逃亡』------


『二人は行きたいところないの?』

『ありすの好きなところでいいよ』

『ありすが行きたいと思うところに・・・行きたい』

二人の反応に困ってしまうありす

『と、とりあえずそこら辺歩き回ってみようか?』

苦笑いを見せながらありすが提案する
もちろん咲華とマリアーヌに異議はなく、すんなり賛成した

歩いて少し時間が経った
何故か咲華はずっと難しそうな表情をしていた
そんな咲華の様子に気づいたありす

『咲華?どうかしたの?』

『・・・・・・ありす、気をつけて
 何か来てる・・・』

咲華は静かにそう答えた
マリアーヌは黙ったまま表情を変えることなく歩いている
しかしどことなく不気味な雰囲気が漂っている

『・・・魔術の使い手が二人・・・
 ・・・他に・・・何か妙な力を持つ人物が一人・・・』

マリアーヌが静かに呟く
ありすはふと後ろを振り返ってみた

『ゎ!』

振り向いてすぐそんな声を上げて再び前を向いた

『ありす?』

『ここ・・・コスプレしてる人がいる・・・』

そんなありすの返答を不思議に思った咲華とマリアーヌ
二人もちらっと後ろを振り返ってみる

振り返った先には二人の少女と一人の少年の姿
なにやらもめているようだが・・・
その中で特に目立つのが・・・頭に猫みたいな耳をつけた少女
よく見れば尻尾のオマケつきである

『・・・うわぁ、あんな格好で街の中を堂々と・・・
 ある意味不気味・・・・・・』

すぐに前を向き苦笑いを見せる咲華

『・・・コスチューム・・・プレイ・・・
 ・・・・・・ ・・・私には・・・真似できない・・・』

相変わらずポーカーフェイスのマリアーヌ
「その衣装で言う・・・?」
咲華はマリアーヌの変わった衣装を見つめながら心の中でそう呟いていた

『・・・世の中にはいろんな人がいるんだね〜』

『ありすは・・・あんなことやらないよね?』

『・・・・・・わかんない  だって可愛いもん』

『・・・そ、そんな・・・・・・』

『大丈夫  街の中歩いたりはしないよ
 ・・・恥ずかしいもん』

笑顔で答えるありすに残念そうな咲華
しかし咲華は少し考えてその表情がパァッと明るくなった

『でも・・・ありすのなら見てみたいかも・・・』

ボソッと呟く咲華だった
もちろんありすには聞こえていない

『・・・つけられてる』

マリアーヌがふと口を開いた

『ん? マリア・・・?』

『・・・尾行されてる
 あの三人・・・私達をつけてる』

それを聞いた咲華の眼がキッと鋭くなる

『・・・に、逃げよう
 もしかしたらありすを狙う集団の一員かもしれない・・・』

そんな咲華の返答に驚くありす

『そんな・・・ただのストーカーなんじゃ・・・』

『ありす・・・可愛いからね・・・』

『二人とものんきなこと言ってないで!
 逃げるわよ!』

そして三人は駆け出した

『でも・・・ただのストーカーでも結構怖い・・・』

マリアーヌがボソリと呟く
もちろんこの状況でもポーカーフェイスなのは変わらない

『そだね・・・  怖いよね』

『・・・昔追いかけられたことがある
 あの時・・・すごく怖かった・・・
 後ろから炎が飛んできたり・・・雷が落ちてきたり・・・』

『・・・それはストーカーどころじゃないと思うけど』

『・・・一体何に追いかけられてたのよあなた・・・』

苦笑いを見せるありすと咲華

『・・・いや、何でも・・・
 小さい頃・・・お菓子をつまみ食いしたら・・・ちょっと追いかけられた』

『そんなお菓子程度で・・・』

『・・・食べるものがなかったから・・・ちょっともらっただけだったのに・・・』

『他人のお菓子食べちゃったの!?』

『・・・・・・忘れて』

そして走り続けるありす達
咲華が後ろを振り返り状況を確認する

『・・・大丈夫  逃げ切れたみたいね』

『ふぅ・・・  何だったんだろうねあの人たち・・・』

息を切らせながらペースを落とす三人
そして近くにあったベンチに座ることにした

『・・・なんだか危なくて街も回れないねぇ・・・』

『大丈夫・・・  ありすは私が護る・・・』

『そ、それ私のセリフ・・・!』

『気にするな・・・  言ってみたかっただけだ・・・』

『むぅぅ・・・』

『拗ねるな・・・ 咲華』

『拗ねてない!』

『あはははは・・・』

咲華とマリアーヌが男だったら漫画にありそうな場面に見えただろう
しかし二人は女である
こういうときにどう反応するべきかわからなかったありすはただ苦笑いを見せていた

『マリアの服ってかわいいよね〜』

無理矢理話題を変えるありす

『・・・そうか?
 ・・・・・・そう言ってもらえると嬉しい・・・』

『ファンタジックな衣装だよね
 それこそコスプレに見えるわ・・・』

『・・・やきもちを焼くな 咲華』

『焼いてない!』

『あのお店で服見てみようか?』

ふとありすが提案する
もちろん二人は異議なしの賛成だった

そしてありすを先頭にお店に向かう三人
入ろうとしたその時・・・

『きゃっ!?』

『わっ!?』

ちょうど店から出てきた三人の人物とバッタリ対面してしまった
先ほど自分達を追いかけていた三人組に・・・
・・・といっても猫耳の少女がいなくなりコートの人物に変わっていたのだが
しかし先ほどの三人組と考えて間違いないだろう

『あ・・・す、すみません!』

危機感を感じたありすはすぐに謝りその場から駆け出した
咲華とマリアーヌの二人もありすを追いかけるように走っていく

ありす達三人のほかにも走る足音が聞こえる

『確定ね・・・あの人たち私達を追いかけてる』

『本当にストーカーだったんだ・・・』

『ストーカー・・・怖い・・・』

『・・・だからストーカーじゃないわよ』

呆れる咲華
しかし呆れている場合ではない
三人は必死に走った
ありすがやや遅れ気味である

『ありす・・・大丈夫か・・・?』

『あはは・・・大丈夫だよ
 ・・・ちょっと運動が苦手なだけで・・・』

『私の背中に乗るか・・・?』

『い、いいよ! 大丈夫だから』

遅れ気味なありすを見て咲華は何かブツブツと呟き始めた

『これは正当防衛よ・・・うん 問題ないわ・・・
 今日は発火用の杖・・・持ってきてないから威力は落ちるけど・・・大丈夫』

『咲華?』

『ありす、マリア・・・走って!』

そう言うと咲華は呪文を唱え始めた

『**** *** ** ******...
 燃え盛れ!Ignition!!』

咲華は追いかけてくる三人組めがけて魔法を放った
三人組の目の前で炎が燃え上がる
命中したのかは分からなかったが今はとりあえず逃げ切れればよかった
だから当たらなくても問題はない

ありす達は角を曲がって人気の少ない場所へ出た

『・・・なんとか逃げ切れたわね』

『木を隠すなら森の中・・・
 人気のない道より・・・人通りの多い場所の方が安全だったと思う・・・』

『し、仕方ないでしょ!
 ・・・ここしか思いつかなかったんだから』

『まあまあ・・・落ち着いて二人とも』

『私は・・・落ち着いている』

『だ・・・大丈夫よ  私だって落ち着いてるわ』

『いや・・・咲華は全然落ち着いてない』

『・・・なんかマリアってば私にだけキツくない・・・?』

『・・・・・・・・・気のせいだ』

目をそらすマリアーヌ
咲華はその態度に少しカチンときた

『・・・ありすを護るのは私の役目だからね!
 そこんとこ・・・わかってるわよね!』

『・・・いや、私が護る』

『いーや!私が護るの!』

『私だ・・・・』

なんだか子供の喧嘩みたいになってしまっている
ありすはこんな状況に慣れていないのか苦笑いをしながらその様子を見ているだけだった

『ま、まぁ・・・逃げ切れたから・・・とりあえずいいじゃない』

ありすが二人を止める
ありすの声を聞いて二人はすんなり口喧嘩をやめた

『そうね  とりあえずは・・・これでよかったということにしよう』

『・・・一応咲華のおかげだ
 感謝する』

『ありすのために・・・やっただけよ』

『・・・照れるな 咲華』

『照れてない!』

『あはは・・・なんだか今日の咲華・・・反応が可愛いね』

『・・・・・・っ』

赤面する咲華
そんな様子を見てありすは微笑むのだった
ひそかにマリアーヌも笑っていた

三人が安心したのもつかの間・・・
この数分後に更にすごい鬼ごっこをすることになるとはまだ誰も予想できなかっただろう・・・

To be continued......


Back



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送