『じゃ、また後でね お兄ちゃん』

『ああ』

---学校ではなかなかお兄ちゃんと会えないから少し寂しいな・・・
  でも、しかたないんだよね・・・
  早く放課後にならないかな☆


------Story01〜Alice's Episode〜『再会の時』------


〜私は「澤咲ありす」〜
  中等部3年生
  兄の「椿」は高等部2年生
  そういうわけでお兄ちゃんと会う時間があまりないんだ
  というわけで放課後までお預けなんだよね・・・
  はぁ・・・ もっと一緒にいたいのになぁ


キーンコーンカーンコーン

『起立 おはようございます』

『おはようございます』

『おはよう』

いつもどおりの朝
いつもどおりのHR
先生が教室に来て、挨拶をして・・・着席
今日も何事もなく平和な朝・・・

なんだか眠くなってしまいそうだ


『よし みんな静かにしろ
 今日は転校生を紹介する』

転校生?
・・・男の子だろうか?
それとも女の子?
「気軽に話せる人だといいな」
そう願うありすだった

教室の扉の向こうからその転校生が入ってくる

(・・・・・・?)

---なんだろう・・・---

なにか静電気のようなものが身体を走ったような気がした

黒板には「瑠璃垣 咲華」と大きく書かれている
名字は「るりがき」と読めるのだが名前の部分が読めない
今までいろんな名前の人とであったが「咲華」などという文字は見たことがなかった

『・・・瑠璃垣・・・咲華です
 ・・・みなさんよろしく・・・お願いします』

かすれそうな声で自分の名前を名乗る咲華

(・・・「さくら」って読むんだ・・・あれ
  ん・・・?さくら・・・?)

『席は・・・そうだな
 窓際から二列目の最後尾が空いてるな
 じゃ、澤咲の隣に入ってくれ』

『はい・・・』

---なんだか今にも倒れそうだなぁ・・・
  大丈夫・・・?

窓際最後尾
そこがありすの席
彼女の右隣は空席になっている
そこに咲華が入ることになった

『あ・・・隣だね
 よろしく 瑠璃垣さん』

『うん よろしく・・・ありすさん』

---ん?・・・私・・・名前言ったっけ?---

いきなり名前で呼ばれて疑問符が浮かんでしまう
先生は「澤咲」としか言っていないはずなので「ありす」という名前はまだ教えていないはずだ

(あれ・・・?)

よく見ると・・・咲華の額には不思議な傷痕みたいなものがあった

(なんだろう・・・?変な形・・・
 切傷じゃなさそう・・・
 でも・・・なんだろう・・・
 見覚えがあるような・・・)

何か引っかかる気がするのだが、
ハッキリしないので深くは考えないことにした


とりあえず・・・転校生瑠璃垣咲華を向かえて、朝のHRは終わり、
1時間目の授業に入った


『あ・・・ありすさん
 教科書・・・見せてもらえます?』

『え?
 あ・・・うん』

『ありがとう
 時間割知らなくて・・・教科書忘れちゃったんだ』

---話しやすそうな人でよかった・・・---

そう安心した後、ありすは「引っかかっていたこと」を質問してみることにした

『あの・・・私・・・名前教えたっけ?』

『え・・・?
 ・・・・・・・・・・・・』

突然黙ってしまう咲華
彼女の表情は少し悲しそうだった

(・・・私・・・変なこと言ったかな・・・?)

結局・・・咲華は何も言わないまま・・・
気まずい空気のままで1時間目を終えた

---な 何か話さなきゃ・・・---

「とりあえず2時間目までの休憩時間を利用して何か話してみよう」
そう思って・・・静かに隣の席に座っていた咲華に声をかけてみることにした

『ねぇねぇ、瑠璃垣さんって兄弟いる?』

『うん・・・ 一人だけ・・・兄がいるよ』

『そうなんだ〜
 私と同じだね♪』

『うん・・・知ってるよ』

『・・・え?』

---・・・知ってる?
  どういうこと・・・?
  瑠璃垣さんは・・・今日初めて会った人で・・・
  ほとんど話してもいないよね・・・?
  先生がいろいろ言ったのかな・・・?
  いや・・・そんなはずないよね・・・
  う〜ん・・・---

『・・・やっぱり・・・覚えてないんだね』

その言葉が聞こえた直後・・・先生が来て会話は強制中断されてしまった

(・・・覚えてない・・・?
 瑠璃垣さんって・・・一体・・・?)

いかにも知り合いだったかのような返答をもらい
ありすは更に混乱してしまうのだった


キーンコーンカーンコーン

結局・・・あれ以来咲華と話すこともなく・・・放課後を迎えた
いつもなら兄に会えるから楽しいはずの放課後・・・
でも今日は・・・あのことが気になってしまってしかたなかった

---・・・話を聞いてみよう
  ハッキリしないままは・・・なんか嫌だから---

そしてありすは目的地を昇降口から教室へ変更して
駆け足で今まで来た道を戻った

『お、ありす
 そんなに急いでどうし・・・・・・』

(まだ教室にいるといいけど・・・
 ん・・・?
 お兄ちゃんの声が聞こえたような・・・?)

少し足を止めてみる
廊下を少し見渡してみるが、兄らしき人影は見当たらない
声が聞こえたような気がしてから少し時間が経っていたせいか・・・
結構な距離を進んでいたようだ

(気のせいかな・・・)

そしてまた駆け足で教室へ向かった
夕焼けがまぶしい校舎内・・・
彼女がまだ残っていることを祈って走り続けた

(本来・・・廊下は走っちゃいけないんだけどね・・・)


ガラッ

少し荒く教室の扉を開く
案の定・・・瑠璃垣咲華は残っていた
不思議なことに・・・「瑠璃垣咲華だけ」が残っていた

『ありすさん・・・来てくれたんだね』

『はぁっ はぁっ・・・
 瑠璃垣・・・さん・・・』

走っていたため、少し息が上がってしまい上手く喋れない
かろうじて・・・その名だけを呼ぶことができた

『8年ぶりだね ありすちゃん・・・』

『さくら・・・ちゃん・・・?』

不意に口から出たその名前・・・

---そうだ・・・さくらちゃん・・・
  彼女は・・・・・・夢に出てきたさくらちゃん・・・
  小さいころの友達・・・さくらちゃんだ
  まさか・・・こんなところで会えるなんて・・・
  連絡くらいくれればよかったのに・・・---

『思い出した?』

『本当に・・・さくらちゃん?』

『そうだよ
 8年前に・・・私の命を救ってくれた・・・あの日から・・・ずっと・・・覚えてた』            

『ゴメンね・・・ 私・・・』

『ううん 今・・・こうして思い出してくれた・・・
 それだけで・・・嬉しいよ ありすちゃん』

『さくらちゃん・・・』

夕焼けが照らす教室
そこには・・・私と彼女しかいなくて・・・
外の音が聞こえない世界
自分達以外に・・・何も存在しない世界
一時的だけど・・・そんな空間に包まれていた

To be continued......


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