時は戦国、戦乱の世
領土を拡大するがために各勢力が競り合っていた時代
様々な勢力が争い、たくさんの人間が殺し合い、そして死んでいった
そうして人々は歴史を築き上げていった
その中に一人・・・ 歴史に名を連ねぬ一人の女剣士がいた
彼女が歴史の表舞台に現れることはなかったが、その功績は確かなものであった
剣士―水無月鶫―
彼女の存在はごく一部の者の間で密かに有名な歴史として今もどこかで語られている・・・


――AnotherStory〜戦姫〜『無名の剣士』――


ザクッ

『一匹・・・』

ザクッ

『二匹・・・』

ザクッ

『三匹・・・』

研ぎ澄まされた刃
刃毀れ一つなく、刀身は鏡のように周りの景色を映し出している
柄には刀の名前が掘り込まれている

『お母さん、魚・・・取れたよ』

少女が魚の突き刺さった刀を持ってくる
向かう先には少女の母親の姿
母親は少し呆れた様子で娘を見ている

『鶫、刀はそう使うものじゃないと言ったでしょう?』

『だって・・・せっかく貰ったんだもん、使わなきゃ』

『ふぅ・・・まったくこの子は・・・
 まぁいいわ そろそろ夕飯の準備をしようかしら』

『あ、私もう少し魚取ってくるよ』

そう言うと少女鶫は刀を持って再び川へと走った


川は冷たく、足の感覚がなくなってしまいそうなほどだ
泳ぐ魚を狙って勢いよく刀を突き刺す
鶫の狙いは逸れることなく魚に命中する
そしてその魚をカゴに放り込むと、再び魚を獲り始める

ザクッ

『一匹・・・』

ザクッ

『二匹・・・』

ザクッ

『三匹・・・・・・』

ザクッ

『大量・・・ 今日は魚が食べられるね』

夕飯が楽しみで鶫はひたすら魚を獲り続けた

鶫の住む小屋は山の中にある
いくつかの小屋が集まっていて小さな村と化している
だが、土地はそれほどよくなく野菜はあまり育たない
だから村人達にとっては魚が主な副菜であった

魚は村から少し離れた川から獲ってくる
その川が現在鶫のいる川である
主な飲み水もその川から汲んできており、なくてはならない大切な川であった

ザクッ、ガキン

『あっ・・・またやっちゃった・・・』

時折、振り下ろす威力が強すぎて魚を貫通した刀が川底に突き刺さることがある
だが刀は新品同様、刃毀れすることはない
とても丈夫で斬れ味の良い刀である
この刀は鶫が十の歳を迎えた時に母から受け取った贈り物である
母はかつて戦場を駆けていた女侍だったらしい
その時、戦場で使用していた刀なのだそうだ
だが、全く使用された跡が見当たらなく、母の話が本当だったのかどうか定かではない


『そろそろ陽が暮れてきたかな・・・?』

空が赤く染まり、夕日が燃え上がっている
鶫は刀を鞘に収め、川からあがる
そして獲った魚の入ったカゴを持ち、小屋へ帰ろうとする

『・・・・・・?』

鶫が突然足を止める
辺りはしんと静まり、物音一つ聞こえない

―何・・・? 妙な胸騒ぎがする・・・

急ぎ足で小屋へ戻る鶫
さすがにカゴが重くて走ることができない
鳥の鳴き声はおろか、虫の音すら聞こえない

―嫌な予感がする
 なんだろう・・・
 すごく嫌な予感がする・・・
 何か・・・ ・・・何かが壊れる
 誰かがいなくなってしまう・・・

鶫はひたすら走った
何度も転びそうになりながら必死に走った
何故かはわからなかったが急がなければいけない気がした
第六感がそう告げている
ここで走らなければ全てを失ってしまう気がした

どれだけ走っただろう
川へ向かう時は大して距離を感じなかったが、小屋から川までは相当な距離がある
急いでいるせいだろうか、既にその距離の倍は走っている気がする
いや、倍程度ではない 三倍・・・それ以上走り続けている気がした
足が悲鳴を上げてくる
だが止まるわけにはいかない
何が起こっているのかはわからないが、急がなければ手遅れになってしまう、そう思ったから・・・


『・・・っ!』

ガッ

足がもつれて転んでしまう
鶫の目の前に広がった光景があまりにも衝撃的であったせいでもあろう
鶫の目の前には紅蓮の火の海が広がっていた

『・・・・・・山火事・・・!?』

カゴをその場に捨てて再び走り出す鶫
あと少しで小屋が見える
何よりも母の身が心配だった
父は鶫が生まれた時には既に亡くなっており、母だけが唯一の肉親であった
母を失うわけにはいかない、母だけは・・・


『母さん!母さーーーん!』

必死に母を探す
周りの小屋はほとんど跡形もなく燃えており、人の気配すら感じられなかった
幸い鶫の小屋は少し離れた場所にあり、燃え移るのには時間がかかると思われた

―母さん・・・無事でいて・・・!!


――――――――

『何のつもりですか?村に火を放つなど・・・』

『へへ・・・ こうでもしねぇと俺らは生きていけねぇからな
 野郎ども!ありったけの有り金奪っちまいな!!』

『山賊・・・・・・!』

小屋の中、一人の女性と数人の男達の姿
男達は小屋の中を荒らしまわり、金目の物を見つけては一箇所に集めている
どうやらこの男達が村を荒らしまわったらしい
他の小屋は既に襲われてしまったのだろう
その中の頭目と見受けられる男が女性と口論をしているようだ

『あんたがかつての戦国武者、水無月楠千代だったってことはわかってんだ
 さぁあの刀を出しな、アレはいい金になる・・・』

『何の話ですか?刀など・・・』

ガッ

男が女性―水無月楠千代―の襟元に掴みかかった
ギリギリと力が込められ、抵抗することができない

『調べはついてんだ、大人しく出しゃあ命まではとらねぇぜ』

『く・・・ぁ・・・ ありませ・・・ん、刀は・・・捨てました』

『あぁん・・・?捨てただと・・・?ふざけんじゃねぇ!!』

男は力のままに楠千代を投げ飛ばす
彼女は壁に激しく背中を叩きつけられ口から血がしぶく
よろけながらも身を起こし、彼女は消えてしまいそうな声で言った

『見ての通り・・・私には利き腕がありません
 そのような者に刀は不要・・・ 二度とあの刀を振るう機会など・・・ありません』

『な・・・ 右腕が・・・ねぇ・・・!?』

そう、彼女には右腕が存在していなかった
かつての戦国武者は刀も振るうことができないただの村人に成り下がってしまっていた

『ちっ・・・マジかよ
 なら仕方ねぇ・・・ 野郎ども、退くぞ!』

『ぎゃぁぁぁぁっ!!』

返ってきたのは返事ではなく、悲痛な悲鳴と大量の血しぶきだった
振り返ると部下の一人が腹から血を流して倒れていた

『利き腕失えども・・・ 武者・・・死することなかれ』

楠千代は静かにそう呟き、左手に持った刀を構えて男に斬りかかる
彼女はいつの間にか男の背後に回りこんでおり、男は咄嗟のことで対処することができなかった
彼はかろうじてその太刀をかわした・・・はずだった
男の左肩から鮮血がほとばしる
彼は悲鳴を上げ、傷口を右手で押さえながら倒れた

『この・・・あまぁぁぁぁ!』

多数の部下たちが楠千代に刃を向ける
だが彼女は動じる様子もなく、むしろ笑っていた

『悪くない、久しぶりの感覚だ・・・
 戦姫水無月・・・参る!』

その掛け声と共に次々と男達に斬りかかる
所詮は賊、戦闘の経験などほとんどない輩の集団である
単に武器を見せつけて村人達を脅してきたのだろう
実際にその刀を振るったことなどあっただろうか
仮にあったとしても数える程度でしかないだろう
そんな奴らは彼女の敵ではなかった

『おいてめぇら!そんなナマクラ相手になに苦戦してやがる!?』

『武器は使うべき者が使って初めてその威力を発揮する
 たとえどのような強力な武器であろうと・・・経験の浅い者が扱えばナマクラ同然・・・
 君達では・・・このナマクラにすら勝てないだろう』

彼女の気魄に恐れをなした賊どもは武器を握るのがやっとで、抵抗することもなく斬られてゆく
誰一人として彼女を止められる者はいなかった

『な、何だこの女!?動きが読めねぇ・・・!?!』

『当たり前だ、何故私が戦姫と呼ばれていたと思う・・・?』

『な・・・?』

『心眼=@私には君達の動きが手に取るようにわかるのさ』

一人・・・また一人と斬られていく
もはや全滅するのは時間の問題だった

『これが水無月を名乗る者の実力だ、覚えておくがいい』

『く・・・っ!えぇい!一斉に斬りかかれ!戦姫といえど相手はひと・・・り・・・』

『君はもう・・・黙っていてくれないかな?』

急に頭目の声が途切れたかと思われた刹那、首がズルリと胴体から離れた
頭を失った胴体は動くことすらかなわずその場に崩れ落ちる
そして頭は驚きの表情を保ったまま床に転がっていた

『敵将・・・討ち取ったり』

彼女は顔を上げるとクスリと笑い、頭目の首を持ち上げた
それを見た賊どもは震え上がってしまい、武器を捨てて一目散に逃げ出した

――――――――

『母さん!!』

血生臭くなった小屋に鶫が足を踏み入れる
小屋の中には無数の死体が転がり、あたり一面どす黒く染まっている、そんな有様だった

『鶫・・・、よかった・・・無事だったのね』

鶫の母親―楠千代―はぐったりした様子で壁に寄りかかっていた
彼女の手元には刀が一本・・・真っ赤に染まった刀が落ちている

『母さん!一体何があったの!?
 今・・・変な男達が小屋から出てきたけど・・・』

『ふふ・・・ 母さん・・・ちょっと・・・頑張りすぎちゃったみたい』

『あの男達にやられたの!?』

『・・・・・・ちょっと疲れただけよ
 私も歳なのかしら・・・』

『もう・・・ 利き腕がないくせに頑張るから・・・』

『・・・その利き腕を斬り落としたのは一体誰かしら?』

『・・・・・・・・・・・・』

「やれやれ」とため息をついて楠千代は立ち上がり、フラフラしながら小屋の外に出る

『か、母さん!何処行くの!?』

『外の空気を吸いたいの、こんな血生臭いところにいつまでもいわれないわ』

『・・・もぅ』

「心配して損した・・・」と小さく呟き、鶫は楠千代の後を追った
今まで血生臭い場所にいたせいか外の空気が新鮮に感じる
深く深呼吸をすると楠千代は鶫の方を振り返り、こう言った

『鶫、その蒼天華・・・何故あなたに渡したかわかるかしら?』

『え・・・? 剣士引退したからじゃないの?
 もう若くないんだし・・・』

『失礼なこと言う子ね・・・・・・』

コホン、と咳払いをして鶫の右肩を掴む楠千代
そして顔を近づけて話を続けた

『いい?真面目な話なの、真剣に聞いて』

『う、うん・・・』

楠千代の迫力に押され、しぶしぶ納得する鶫
そして楠千代は鶫から手を離し、静かに空を見上げる

『その蒼天華はね、母さんが若い頃に使ってた刀なの』

『知ってるよ』

『いいから聞きなさい!
 その刀は先祖代々継がれてきた刀でね、特殊な気が籠められていると言われているの』

『この刀が?』

鶫は蒼天華を鞘から抜くと、その場で振り回し始める
鶫のこの行動は日常茶飯事だったため咎める気も起きなかった楠千代はそのまま話を続けた

『それで・・・この刀は斬った相手の精気を吸収することができるの
 つまり、相手の生命を自分のものにできる・・・』

『あ・・・だから銛で獲った時より美味しくなかったんだ・・・あの魚』

『・・・あのね、刀はもともとそう使うものじゃないのよ』

『だって刀の方が獲りやすかったんだもん!
 軽いし!いっぱい刺さるし!!』

刀をブンブン振り回してあーだこーだと言い訳をする鶫
刀を振り回しながら騒ぐ鶫の頭に天誅を・・・もといチョップを下す楠千代
「だっ」という声を上げて大人しくなる鶫
昔からこうすると鶫は大人しくなるのである

『鶫、人の話は静かに聞くものよ』

『ふぁあはん・・・いらい・・・』

どうやら今の天誅で舌を噛んでしまったらしい
「母さん・・・痛い・・・」と言いたかったようだ

『今言ったとおり、精気を吸収する
 だから刀の持ち主は衰えることがない・・・』

『・・・?』

『疲れないし、老けることもないの
 ほら、私だってまだまだ若く見えるでしょ?』

胸を張る楠千代
そんな母の姿を見て首を傾げる鶫
その娘の態度に楠千代はムスッとした表情を浮かべる
かすかな殺気を感じた鶫は慌てて言葉を選んだ

『たっ・・・確かに村のみんなよりは若く見えるけど・・・』

『これでも私・・・三十八なのよね』

『あれ?前は二十八って・・・』

『三十八なんて言っても信じなかったでしょ?
 刀を使い始めた辺りから・・・外見がまったく変わってないのね、多分』

『ふ〜ん・・・』

『弘治元年だったかしら、初めて刀を振るったのは・・・』

『十四年前?』

『確か、ね』

話を聞いていて鶫の頭に一つの疑問が生まれた
「何故母は戦場にいたのだろう?」
思い出してみれば鶫に物心がついた時には既にこの村にいた
村の人が言うに母が最後に戦場に赴いたのは七年前、永禄四年のことだったらしい
何故ただの村人が戦場へ向かったのだろう?

『・・・牢人』

『え?』

『母さんは「牢人」だったから戦場にいたの、わかる?』

『え?え?な、なんで・・・え?』

疑問を問いかける前に答えが返ってきた
鶫はそれに驚いた
思考を読まれてしまったのか?それともただの偶然か・・・
鶫の頭はますます混乱してしまうのだった

『心眼=A鶫の頭の中なんて全部お見通しなんだぞっ』

ビシッと人差し指を立てて勝ち誇る楠千代
なかなか混乱状態が解けずに目が点になる鶫
楠千代は時々こうして鶫をからかうことがあった
どうやら戦場へ赴くことがなくなった楠千代の唯一の楽しみであるらしい
子どもっぽいポーズを取り続けている自分の母に呆れた娘は大きくため息をつく

『はぁ・・・・・・ そうなの』

『いまいちな反応ね・・・ 最近の鶫は面白みに欠けるわ・・・母さん残念』

『・・・・・・・・・・・・』

『昔はあんなに可愛い子だったのに・・・』

『・・・・・・・・・・・・』

『母さんの言うことを何でも聞いてくれて・・・
 母さんの言うとおりに何でもしてくれて・・・』

『・・・・・・母さんの腕・・・斬り落としたの・・・私だから・・・・・・
 責任取らなきゃ・・・と思って・・・』

『まーたまた、子どものくせにそんなこと言ってー、か〜ゎいい』

『・・・・・・・・・っ』

鶫はどこまでも自分をからかう母に斬りかかった
大振りな攻撃を軽くかわして鶫に再びチョップを叩き込む楠千代
鶫は派手に転んで地面に顔を打ってしまった

『ぃだあぁぁあぁぁぁっっ!?』

『甘い』

顔を両手で覆って地面をゴロゴロのたうつ鶫
楠千代の方は勝ち誇ったように胸を張っている

鶫が剣術を覚えて以来、何度かこういうことがあった
その度に鶫はチョップを叩き込まれ、楠千代に勝ったためしがない
今までは木刀で攻撃していたのが今回は真剣に変わっていただけである
楠千代にとってはたいした変化ではなかったが、以前これで右腕を斬り落とされたことを思い出し冷や汗をかいていた

『・・・鶫、こんなくだらないことをやってる場合じゃないわよ?』

『・・・・・・・・・』

鶫は「母さんがからかうから・・・」と小さく呟き、顔を上げた

『・・・・・・と、ところで「ろうにん」って・・・何?』

転んでできた擦り傷を抑えながら母に問う
少し間を空けて、楠千代は鶫が理解できる言葉で説明をした

『つまり放浪している武士のこと?』

『・・・・・・うぅん、そういうことになるかしら
 本当はもう少し複雑なんだけど・・・』

『でも母さん、何で突然そんな話を?』

『ん? ・・・・・・そろそろ鶫もお年頃かな、って』

再び冗談を口にしようとしている楠千代に向けて蒼天華を構える鶫
二度も同じことをするのもつまらない、そう思った楠千代は言葉を切り替えた

『その刀は相手の精気を吸収する、と言ったけれど・・・
 その反面、持ち主の精気も吸収するの』

『・・・そ、それって・・・どういうこと?』

『相手から精気を奪い続けなければ・・・自分が死んでしまう』

『な、なな・・・なんでそんな危険な刀を私に!?
 そんなの恐くて使えないじゃん!』

慌てて蒼天華から手を離す鶫
蒼天華はそのまま地面に落ちた
今の話を聞いたせいだろうか
心なしか蒼天華から不吉なオーラが漂って見える

『でも強いのよ?この刀、頑丈だし・・・』

『そういう問題じゃなくて・・・!』

『刀の呪縛・・・それから解放されるにはそうするしかないの』

『・・・じゅ・・・ばく?』

『刀を使う代わりに、刀に命を食わせる
 それが蒼天華を扱う条件・・・
 一度使ってしまえば持ち主が死ぬか、誰かに継がせるまで呪縛からは解放されない』

『継がせる・・・? それって・・・私?
 母さん酷い!可愛い娘にこんな危ないものを・・・』

『あなたが勝手にこれに触れたからよ!
 ・・・まったく、一度かかった者が二度呪縛にかかることはない
 だから私は蒼天華をあなたに託したの、私が持ってても鶫の精気を吸収することには変わらないから』

楠千代は静かに蒼天華を拾い上げると優しく鶫に差し出した
優しく差し出されても、とても不吉なオーラが漂う不気味な刀を受け取る気になれない鶫
なかなか受け取らない鶫にイライラした楠千代は刀を無理矢理鶫の鞘に戻すと空を見上げて話を続けた

『利き腕もない私が再び戦場へ赴くのはほぼ不可能
 無駄死にして鶫を一人残すわけにもいかなかったのよ・・・』

『母さん・・・』

『だから・・・鶫、あなた自身が自分で自分の生を守りなさい』

『・・・つまり、戦え・・・って言うの?』

『継がせるには自分の血がつながった子どもでないといけない・・・
 だからそれは除外、戦うしか道はないの』

『そんな・・・ 人を斬るなんて嫌だよ・・・』

『なら、死ぬ?』

『それも嫌・・・』

不安そうな表情を浮かべ、肩を震わす鶫
楠千代はそんな娘を優しく抱きかかえる

『大丈夫、あなたならできるわ・・・きっと』

『・・・・・・・・・・・・うん』

『ま、そうやって報酬貰ってらっしゃいな
 これで生活も安泰ね』

返事を聞いた途端、楠千代は鶫から離れてケロッとした表情で再び鶫をからかった

『・・・最初からそれが目的だったでしょ?』

『そんなことないわよ?
 私は可愛い娘を死なせたくなかったから・・・』

『母さんの馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

――――――――

永禄十一年
ここに小さな剣士―水無月鶫―が誕生した
「戦姫」と呼ばれた母―楠千代―から授かった刀―蒼天華―で戦場を駆け巡る物語は、
蒼神流剣士の間で有名な戦記として今も静かに語られていることだろう
To be continued......


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